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仮面ライダーAP
第二章 巨大怪人、鎮守府ニ侵攻ス
第1話 闇夜を貪る異形の影
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診のため大本営に出張しており、現在は秘書艦を務める戦艦「長門(ながと)」と「陸奥(むつ)」がその役割を代行しているが――彼女達も詳細を語ろうとはしなかった。
 だが、機密保持という鉄則を鑑みればその姿勢は当然であり、部下である艦娘達もそれについては理解しているため、詮索する者は一人もいなかった。

 だが。それを鑑みても――この日の静けさは異常過ぎると、彼女達は感じていた。

「妙、ですね。静か過ぎる……」
「今夜だって、かなり沖の方まで踏み込んで哨戒してたのに……一匹も影すら見えないなんて、ちょっと変だよね」

 次女と三女が、そうして訝しげに互いを見合わせていた時。先行する長女は独り、前方の水平線を眺めて居た。

「……!」

 闇一色の空を映したように、暗く淀んだ海原。その並行であるはずのラインの上に――うっすらと。

 何かの影が、見えたのだ。

「……いたいた。神通、那珂。0時の方向に何かいる」
「えっ……!? どうしてこんなところに!? 索敵を潜り抜けて来たというの……!?」
「ほ、ほんとだ。なんであんなところに……」
「とにかく、あの影の実体を探ろう。散開するよ」

 夜戦で培った暗視能力は、伊達ではない。素早く敵影を発見した川内は、指先で二人に散開を指示するとスピードを落とし、音を殺す。
 その指示を受け、次女と三女は互いに顔を見合わせて強く頷き、左右に航路を変えた。

(あんな場所に、単独で……。ウチの艦娘じゃないことは確かだよね。でも、万一にも誤射だけは避けたい)

 妹達が散らばって行く様を見届けた後、川内は耳に手を当て上司と連絡を取る。

『こちら長門(ながと)だ。何かあったか?』
「進路上に、彼我不明(ひがふめい)の人員一を確認しました。これより誰何(すいか)に入ります」
『なに? そんなところにか……? ……わかった。何か対象に変化があれば、速やかに報告しろ』
「了解しました」

 通信から返ってきた凛とした声に、川内は厳かに頷くと、夜目を利かせて眼前の正体不明の物体を注視する。
 その「何か」は那珂と神通に包囲されても微動だにせず、海上に静止していた。

『こちら神通。所定の位置に到着しました』
『こちら那珂ちゃん! こっちも着いたよ!』
「よし……神通、那珂。これより、あの人員一の正体を誰何する。逸るなよ、二人とも」
『了解しました』
『了解〜っ!』

 目測距離は約300。三角状に散開した川内型三姉妹は、中央で静止する対象を凝視しつつ――緩やかな速度で接近を始める。
 僅かな波の揺れも起こすまい、と慎重に歩を進める彼女達の影が、徐々に「何か」へと近づいていく。だが、「何か」は気づいていないのか、未だ反応を示さない。

『距離2
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