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小才子アルフ〜悪魔のようなあいつの一生〜
第十四話 作戦発動 その@
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 ほどよい精神の高揚は頭脳と肉体の活力を高め、直面する問題の解決に多くの場合よい結果をもたらす。喜び過ぎて足元を掬われることも時にはあるが、多くの場合落ち込んでいる時よりはよほどましな成果を上げることができる。
 今回がまさにそれだ。
 「さあ、いよいよだ」
 「いよいよ?」
 戦斧の使い方の教材にしたいようなビットマン大尉とキルドルフ大尉の決勝戦がキルドルフ大尉がわずかに上回って決着し、会場が勝者と敗者の双方を称える声と万雷の拍手で満たされる中、俺が低く呟いた言葉は見事、オイゲン公子の耳に到達し心をとらえた。
 「ご存じなかったのですか。これからオフレッサー閣下が見学の学生に戦技を教授してくださるんです」
 「なにっ」
 「しっ、お静かに」
 幼年学校の訓練は馬鹿にしていても、オフレッサーに直接学ぶことの意味の大きさは分かるか。これならやりやすい。ますます目の輝きを増し、立ち上がりかけたオイゲン公子を俺はすかさず制し、前を向かせた。万が一にもオフレッサー大将の言葉を聞き逃して出遅れてしまうようなことになれば、フォローが大変だ。
 「今日は学生も大勢来ているようだな。今日一日精鋭の装甲擲弾兵の戦いを見学して諸君は大いに学ぶところがあったと思う。だが、最も良いのは自分の体で学ぶことだ。俺が戦い方を教えてやろう。誰か俺に挑戦するという気概のある奴はおらんか!」
 フェザーン人や共和主義者からは野蛮人と蔑まれるオフレッサー大将だが、軍人特に地上軍軍人を志す少年たちからの人気は絶大だった。
 オフレッサー大将が声を張り上げるとたちまち観客席から歓声が上がり、俺たち二人と仕込んでおいたバルトハウザー、シュラー、ハーネルの三人以外にも二十人以上の生徒が手を上げた。もちろんオイゲン公子も上げている。
 「これは困った」
 あまりの盛況ぶりに叛徒のレーザーガンでつけられた傷跡をひっかきながら、オフレッサー大将が苦笑した。半分は事前に打ち合わせた演技だが、半分は本気で困っているようだ。だが、見かけに反して知性も十分なオフレッサー大将は打ち合わせておいた台詞に──明らかに自分の楽しみのためにではあったが──数語を加えて見事に対応してくれた。 
 「一度に全員を相手にしてもいいが、それでは勉強にならん。お前たちで試合をして、誰が一番に挑戦するか決めろ。勝ち残った奴から五人相手をしてやる」
 オフレッサー大将の機転に今度は観客席の士官たち、兵士たちがどっと沸いた。子供同士の試合という格好の余興を楽しむついでに新人発掘をしようというつもりか、オペラグラスとメモ帳を取り出している隊長もいる。いい感じの盛り上がりだ。これならいくらオイゲン公子が勘が鋭かったとしても、この試合に俺たちが書いた筋書きが存在していることに気づくことはあるまい。
 「学生はよく見
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