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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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招いた油断もあって防御が間に合わない。

 私はそこに蒼色の魔力を乗せた突きを放つ。

「ぐあっ!?」

「つっ……」

 レイピアを握る左手にしっかりとした手応えと同時に強烈な衝撃が伝わる。

 一年ぶりの衝撃に左手に激痛が走る。

 でも、骨にヒビが入ってるとか、捻挫みたいな感じでもない。

 ただ単に久しぶりの感触だから身体が対応できてないことが分かる。

 けど、私の一撃をモロに受けた彼女は大きく飛ばされ、そのまま地面に叩きつけられた。

 悲痛な声を上げながら、仰向けの彼女は立ち上がろうと体を震わすけど、立ち上がれない。

 私が放った一撃は、高密度の魔力を纏わせた強力な牙突。

 急所ではなくても、バリアジャケットが守ってたとしても、直撃であるのなら耐えられるものではない。

 だけど私は問う。

「終わり?」

 アナタはこの程度なの?

 この程度の覚悟でこの道を選んだの?

 この程度の想いで彼から離れたの?

 この程度の……一撃で諦める程度なのに、“彼”を傷つけたの?

 ならば私は彼女を許さない。

「立ちなさい。 フェイト・テスタロッサ」

 私は切っ先を彼女の向け、先ほどと同じように、刀身に魔力を収束させる。

 ここで終わりになんてさせない。

 例え彼女が諦めても、私が諦めさせない。

 一度決めたのなら、そのために大切なものを捨てたのなら、簡単に諦めてはいけない。

 倒れても、何度でも立ち上がる。

 何度でも何度でも何度でも……。

 少なくとも、私は今までずっとそうしてきた。

 黒鐘がいない寂しさがあった。

 けど、また逢いたい愛しさがあった。

 また逢えた時、もっと強くなってるであろう彼の傍らにいられるようにと夢見て努力した。

 辛いことがあって、苦しいこともあった。

 大怪我をして、リハビリに一年も要した時は後悔もした。

 でも、だからこそ、また逢えた時に全て報われたように思えた。

 諦めなかったから感じられた幸福がある。

 諦めなかったから得られた日々がある。

 私は彼のために全てをかけたことを、今までも、そしてこれからも後悔しない。

 彼は私にとっての正義そのものなのだから。

 ――――フェイト・テスタロッサは、そんな彼の心に深い傷を与えた存在だ。

 そう思った時から、彼女を悪として捉えるようになった。

 彼女にも彼女なりの覚悟があって、決意があって、だからこそ捨てるものがあったことは分かる。

 私も黒鐘のために捨てたものだってあるのだから、それを否定はしない。

 けど、だからと言って彼女が黒鐘を傷つけたことには変わりな
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