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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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が防御のための用意されたプロテクションを砕き、フェイトの右肩を直撃する。

 その衝撃で彼女は後ろへ飛ばされるが、すぐに体勢を整えて着地してみせた。

「甘かった……」

 二撃目の牙突、プロテクションを破壊した衝撃で僅かに狙いが逸れて肩に当たってしまった。

 私の本来の狙いは喉元を突いて息を止めることだった。

 去年までの私ならできた。

 ブランクはここで出ていた。

 けど、それを言い訳になんてしない。

「次は当てる」

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 早くも彼女の息はあがっていた。

 膝が曲がり、肩も下がったその姿勢はまるで、目に見えない重力に押されているかのよう。

 けどそれは当然。

「ふっ!」

「っ!!」

 私は突撃し、三撃目の牙突を放つ。

 今度の狙いも左胸の心臓部がある所。

 同じ所を狙われているのであれば防御は簡単。

 彼女は瞬時にプロテクションでそれを防ぐけど、私は攻撃をやめない。

「油断大敵……そこ」

「ぅあっ!?」

 一瞬で放つ前の構えに戻し、狙いを変えて再び牙突を放つ。

 今度の狙いは喉元。

 それも結局は先ほども狙った場所だから防がれる。

 それでも私は再び構えを戻し、心臓に、首にを繰り返す。

 相手を喰らうまで絶え間なく放たれる光速の連続突き。

 シンプルだけど油断すれば即死になるのがこの技の強み。

「くっ……うぅっ……はぁ……っ!!」

 実際、彼女は二箇所を完璧に防ぐけど、体は衝撃でどんどん後ろに下がってるし、汗は全身から吹き出してる。

 そしてなにより、彼女の表情は恐怖に染まっていた。

「フェイト、そのプロテクション、緩めたら――――死ぬ」

「っ!?」

 死ぬ。

 その一言を聞いた瞬間、彼女の顔から血の気が引いていった。

 元々、病人のように顔が白い子だと思ってたけど、今の表情は重篤な人のそれに近い。

 ふと黒鐘のお姉さんが浮かんでしまうほどに儚く、強さなんて感じない。

 けど、それは当然。

 私が狙っているのは人間にとって急所である心臓と首であり、そこを鋭く、細く、長い刃が寸分の狂いなく迫るのだから、そこには神経を極限まで削られてしまう。

 肉体以上に精神を削るのがレイピアを用いた私の戦術。
 
 一撃が必殺、回避も許されない怒涛の連続突き。

 私が黒鐘より優しくないと言ったのは、手加減も峰打ちもしないで殺しにかかる戦いだから。

 黒鐘だったらここで止めてたでしょうけど、私は止めない。

 ここで狙いを腹部のへそより少し上に変える。

 彼女は急に狙いを変えられたこと、今までに削られた精神が
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