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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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され、コンテナに背中からぶつかる。

 背中に走った強い衝撃に肺の息が全て漏れ、呼吸が止まった。

「がはっ……はぁ、はぁっ……」

 咳と共に呼吸を立て直し、素早く立ち上がって構えを直す。

《マスター、大丈夫ですか?》

「ああ、心配はいらない。 それより……」

 俺が蹴りを避けれなかったのは、恐怖心によるものだけじゃない。

 ここから離れた雪鳴の魔力反応が強くなったんだ。

 そこにはもう一つの魔力があり、ぶつかり合っていた。

「フェイト……」

 その魔力がフェイトだってことはすぐに分かって、それが俺の思考を僅かに鈍らせてしまった。

《焦る気持ちは分かりますが……》

「分かってる。 目の前の敵を倒さないとな」

 雪鳴とフェイトのことは気になるけど、目の前のことを解決させていかないとどうにもならない。

 今は二人を信じるしかない。

「おいおいよそ見してんじゃねぇよ……」

 両手を垂らし、フラフラと揺れながら、まるで生きた屍のようにこちらに迫る奴は、怒りを含んだ笑みを浮かべていた。

 無視されたことへの怒りか……そんなに、

「そんなに戦いが好きか?」

 心に過ぎった疑問が口に出ると、奴は即答した。

「ああ、大好きだね」

「死ぬかもしれないのにか?」

「だからいいんじゃねぇかよぉ?」

「死ぬことの、何がいいんだよ?」

「気持ちいいじゃねぇかぁ」

 なんだ……何を言ってるんだ、コイツは?

 目眩がするほどの衝撃が、俺の思考を乱していく。

 こんなにも誰かの言葉を理解できないのは初めてだ。

 こんなにも、拒絶したいと思う感覚は初めてだ。

「死に迫れば迫るほど感じる冷たい恐怖感。 全身の血流がハッキリと伝わり、呼吸の一つ一つを愛おしいと思える瞬間……そう、死ぬ時こそ俺達は生きてると感じれる!」

 愛おしそうに、嬉しそうに語るヤツの表情は屈託のない笑みを浮かべていた。

 それに対して俺はただ……ホントにただ素直に、嫌悪感に満ちた表情でヤツを睨みつけ、

「気持ち悪い」

 思ったことをそのまま言葉にした。

 ヤツから驚いたような反応はない。

 当たり前だよなといった様子で頷き、そして決意に満ちた表情で俺に切っ先を向けた。

「なら、身体で分からせてやるよ」

「興味ないから遠慮しとくよ」

 そう言って俺とヤツは再び、同時に駆け出した。

 互いに身体強化に魔力を向けていただけに、衝突は一瞬だ。

 刃が同時にぶつかり、細かい火花をいくつも散らしていく。

 鍔迫り合いで分かる、互いの実力の差。

 俺とヤツに大きな差はない。

 互いに僅かで
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