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魔法少女リリカルなのは 〜最強のお人好しと黒き羽〜
第二十三話 恐怖を超える想い
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一斉に放つ魔法。

 全てが複雑で不規則な弾道で放たれるため、回避不可能の中距離系の魔法だ。

 黒屑の流星はたった一人の狂気に向かって迫り――――、

「いいねぇ……最っっ高じゃねぇかぁ!!」

 まるで快楽を見つけたかのような笑みと瞳で全ての弾丸を一瞬にして切り裂いた。

「そうなるか」

 回避不可能、と言うことは回避以外の方法、迎え撃てばいい。

 けど、まさかそれを見事に成功させるなんて人は……俺の知る限り、二人目だ。

「楽しませて貰うぜぇ!」

 俺が放った弾丸のいくつかは、奴を狙わないフェイクの弾丸だ。

 だから何発かは地面を抉る予定だった……が、奴は“全て”を切り裂いた。

 自ら望んでそれを選んだんだ。

 最初からなんとなく分かってたことだけど、俺はここで奴を完全に理解した気がした。

 ――――狂ってる。

「アマネ!」

《わかってます》

 俺は奴の足元を狙って二発の弾丸を放ち、同時にアマネの形態を銃から刀に変化させた。

 奴は弾丸を両足に込めた魔力で蹴って破壊しつつ、俺に迫った。

「ひゃぁっ!!」

「せいッ!!」

 上段から迫る剣線を俺は横薙ぎに振るって迎え撃つ。

 黒と闇の魔力が、再び衝突した。

 先ほどを上回る強烈な衝撃により、激しい火花が二人の顔を照らす。

 同等の力の衝突は周囲の大気を揺らすが、俺と奴にそれを気にする余裕はなく、同時に刀を引いて再び振るう。

 金属に近い素材の刃同士がぶつかり合うその衝撃音を最初に、俺たちは加速した剣戟が大地や周囲のコンテナを切り裂いていく。

 俺の放った弾幕全てを対応できる身体能力の持ち主に、生半可な連続技は無意味だ。

 繰り出す一閃一閃に持ちうる全力の魔力を乗せて振るう。

 ――――斬る。

 刃物の欲求に応えるように、鋭い剣閃は何度も奴に迫るが……同じような剣戟によって相殺されてしまう。

「ひゃははははっ!! 面白ぇ面白ぇ面白ぇっ!!」

 狂いに狂ってるかのように、奴は高笑いを止めずに刃を振るう。

 全身を使った無駄な動き、雑な動きに見えるにも関わらず、その刃は正確に俺の剣閃を叩き落としていく。

 そのうえ俺の首を狙うためのフェイントを織り交ぜた連続技に、俺は何度も冷や汗を垂らした。

 狂った存在に、首を狙われる。

 その事実が俺に恐怖に似た感覚を思わせる。

 そしてその感覚が一度でも顔を出せば、それは目に見えない鎖となって俺の体を縛っていく。

「く……っ!?」

「オラオラどうしたぁ!? もぉ終わりかぁ!?」

「ぐあっ!!」

 フェイントを織り交ぜた回し蹴りを腹部に受けた俺は低空を飛ば
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