暁 〜小説投稿サイト〜
真田十勇士
巻ノ六十四 大名その五

[8]前話 [2]次話
「受けるとしよう」
「そのお話が来たら」
「その時点で、ですな」
「そうしますな」
「そして大名になられますな」
「うむ、決めた」
 今そうしたというのだ。
「ではな」
「はい、では」
「そのお話がきたらです」
「お答え下され」
「その様に」
「ではな」
 再び十勇士達に応えた、そしてだった。
 幸村は風呂から出て全てを決めた顔で己の陣に戻った、そのうえで出陣の時に共にいる兄に確かな声で答えた。
「それがし決めました」
「昨夜の話じゃな」
「左様です」
「わかった、ではな」
「はい、その様に」
 こう答えたのだった、そしてだった。
 幸村達は戦を終えて上田に戻った。その帰路に氏政達の切腹と氏直が一旦高野山に入れられたと聞いた。その他のことも。
 それでだった、全てを聞いた昌幸は二人の息子達に上田城でこう言った。
「徳川殿が関東に入られたな」
「ですな、まさかと思いましたが」
「そうなりました」
 信之も幸村も言う。
「伊達殿も仙台に移られ」
「東国は大きく変わりました」
「これまでとは一変しました」
「会津には蒲生殿が入られましたし」
「うむ、これからはじゃ」
 昌幸は息子達に言った。
「その東国を見ることじゃ」
「あちらをですか」
「そうすべきですか」
「徳川殿はこれで終わらぬ」
 確かな声でだ、昌幸は言った。
「おそらく徳川殿ご自身は殆ど大坂や都におられるが」
「それでもですな」
「家臣の方々が関東におられ」
「それで治められる」
 新たな領国となった国々をというのだ。
「そして豊かにもなられる、そしてな」
「力を蓄えられ」
「これまで以上にですか」
「強くなられる、天下きっての権勢もじゃ」
「持たれる」
「そうもなられますか」
「関白様はあえて関東に移されたが」
 家康をだ、彼がこれまで以上に権勢を持たない様に縁も由もない関東に移させて力を削ぐ考えもあったのである。
 しかしだ、それでもだというのだ。
「あの方はな」
「それで終わらずに」
「さらにですか」
「権勢を強くされ」
「栄えられると」
「そうなるであろう」
 こう言うのだった。
「徳川殿はな、そして伊達殿もな」
「あの方もですか」
「仙台に転封となりましたが」
「それで終わらぬ」
「そうなのですな」
「うむ、その仙台を治められ」
 家康がそうする様にというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ