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第四十三話
第四十三話 互いに譲らず
勝負は互角であった。何と採点結果は双方同じであったのだ。
「そういうことね」
美奈子はそれを見て冷静に述べた。
「私達は互角だったってことよ」
「また冷静に言ってくれるわね」
華奈子が双子の姉妹にそう言ってきた。
「負けはしなかったけれど。何か」
「悔しい?」
「勿論よ」
気の強い華奈子ならではの言葉であった。
「勝てなきゃね。やっぱり」
「そう」
「そうよ。残念なんてものじゃないわ」
彼女はまだその強い負けん気を見せていた。
「勝たなきゃ意味ないじゃない」
「けれど優勝はしてるわ」
美奈子は彼女に言う。
「それで満足しておきましょう。今はね」
「そうね」
華奈子も今ここで何を言ってもどうにもならないのはわかっていた。それに優勝したのは事実だ。それに満足してもよいこともわかっていた。
「じゃあここはね。後日決着をつけるってことで」
「ええ」
美奈子は華奈子の言葉に頷く。そして表彰に向かう。
そこに向かうのは華奈子と美奈子であった。四人は二人に譲ったのであった。
「有り難う」
「いいのよ」
四人は笑顔で二人に言った。そのうえでトロフィー授与に向かうよう急かす。
「さあ」
「わかったわ」
「それじゃあ」
二人はそれに応える。そして表彰に向かう。
そこには雅美もいた。今三人はまた対峙した。
しかし今はこれといって敵意を見せたりはしない。互いに笑みを浮かべてこう言うだけであった。
「おめでとう」
「そちらこそ」
双方互いに言う。
「優勝したわね」
「ええ」
そのうえで見合う。
「けれど今度は」
「こちらこそです」
それで終わりであった。それぞれトロフィーを受け取って戦いは終わった。しかし華奈子も美奈子もそれで終わりだとは思っていないのであった。
「さて、次ね」
「そうね」
二人は言い合う。
「今度は何の勝負かしらね」
「どんなのでもいいわ。けれど」
華奈子は言う。
「勝つだけよ」
強い言葉であった。その言葉こそが華奈子であった。彼女達の次の戦いはもうはじまっていた。
第四十三話 完
2007・1・3
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