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第四十二話

                第四十二話  クラウンの意地
 クラウンの演奏がはじまる。まずはオーソドックスにいった。
 しかし歌がはじまると。いきなり派手に勝負に出た。
「おっ」
「これは」
 観客達はそれを見て思わず声をあげる。
「かなりいいな」
「ああ」
 それは雅美の音楽にも匹敵するものであった。六人の歌と演奏が完璧に合っていて見事な調和を見せていた。
 しかし彼女達の仕掛けはそれに留まらない。ここで仕掛けてきた。
「いいわね」
「ええ」
 目で合図を交わす。それを受けて六人はそれぞれの魔法を放ってきた。
「お、おい!」
「これって」 
 水柱が光に照らされ火花がスパークする。その水と火、光が風に舞いステージが縦横に動く。それを絶妙の音が指揮していた。
 六人は音楽にそれぞれの魔法を合わせてきたのだ。これは絶大な効果をもたらしていた。
「これってよ」
「こんなのはなあ」
 皆何と言っていいかわからなかった。まるで夢を見ているかのようであった。
 クラウンのステージの評価はかなりのものであった。最後は拍手が六人を包み込んだ。
「凄いぜ!」
「こんなのはじめてだぜ!」
 観客達は口々に言う。まずは彼等の心は掴んだ。
「これで勝ったかしら」
「いえ、まだわからないわ」
 ステージから降りて上機嫌の華奈子に美奈子が言ってきた。
「まだね」
「まだなの?」
 華奈子は美奈子に問うた。すると美奈子はそれに答えてきた。
「そうよ。審査の結果で勝敗を決めるんでしょ?」
「ええ」
 華奈子はそれに答える。
「だったらよ。雅美さんだって同じ位の拍手受けてたし」
「じゃあ最後までわからないのね」
 華奈子はそれを聞いて言った。
「そういうこと。安心するのは結果を見てからよ。いいわね」
「わかったわ」
 華奈子もそれに応えた。
「それじゃあ」
「そうね」
 彼女達は今は待つことにした。そして。
 審査結果が発表される。これで運命が決する。勝ったのは。
「どっちだ!?」
「どっちなんだ!?」
 結果が発表される前から観客達も沸き立つ。
「クラウンだよな」
「雅美だよな」
 皆それに注目する。そして発表される。
 今命運が決する。勝利の女神が微笑んだのはどちらであろうか。



第四十二話   完


                     2007・1・2



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