6. 一航戦とビッグセブン(後) 〜赤城〜
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なかったから、あのでっかいヤリで突っ込まれても怖くはないクマ』
球磨さんは鼻息を荒げながらそう言っていたが……そうだとしても油断は出来ない。大戦時の金剛さんのように近代化改修で劇的に速力が上がれば、ランスチャージはこの上ない脅威となる。そうなった時、私の艦攻隊と艦爆隊で彼女を捉えきることが出来るだろうか……
知らぬ間にロドニーさんとの戦いを頭の中で組み立てている自分に苦笑しつつ、資材貯蔵庫の扉を開く。以前は貯蔵庫内の空気はひんやりと冷たく、物資を貯蔵している場所特有の生活感の無さを感じたが……今は集積地さんが居座っているためか、その空気にも若干人のぬくもりが感じられる。
「電さーん。集積地さーん」
貯蔵庫に足を踏み入れ、二人の名を呼んだ。奥から『赤城さんなのです?』という電さんの声が聞こえる。不安感がこもっているように聞こえたのは、私の気のせいではないはずだ。
「そうですよ。おまたせしました」
「中将さんは帰ったのです?」
「帰りましたよ。もう隠れてなくても大丈夫です」
声の発生源がいまいち掴めないまま貯蔵庫の奥に足を踏み入れた。さっきまで二人が妖精さんと共に貧乏神をなすりつけあっていたゲーム機とテレビモニターは電源が切られていて、今は一切の音を発していない。
そこから少し奥まったところにあるボーキサイトのかげから、電さんと集積地さんが顔を見せた。二人は私の姿を見るなり安心した表情で姿を表し、私のそばまで歩いてくる。電さんと集積地さんは息を潜めて貯蔵庫の中でずっと隠れていたらしい。二人と遊んでいた妖精さんたちもいなくなっている。
「二人とも。お疲れ様でした」
「赤城さんこそお疲れ様なのです。中将さんにはヒドいことされなかったのです?」
「私は特になにも。確かにちょっと怒鳴られましたけどね」
「はわわわわわ……やっぱり中将さんは怖いのです……」
私の話を聞いて、自分が怒られた時のことを思い出したのだろうか。電さんは顔を真っ青にして恐れおののいていた。確かに優しい彼女にしてみれば、机を叩いて怒りを表現することでこちらを威圧してくるあの中将は、さぞ恐ろしかったことだろう。今回同席したのが私でよかった。
「……アカギ」
「はい?」
「やはり私のことでか?」
「そうですね。あなたを出せと迫られましたが、提督はなんとかかばいきりましたよ」
「そうか……ありがとう」
「礼なら電さんと提督に言ってください。あなたに関しては電さんがすべての発端で、それを受け入れたのは提督です。私は何もやってませんから」
「そうか……」
集積地さんは私の言葉に対してそうつぶやき、隣で未だに青ざめた顔をしている電さんの頭を撫で、彼女の右手を取っていた。神妙な顔をしている。何か思うところがあるのだ
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