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第三十四話

              第三十四話  楽器の魔法
「じゃあいいわね」
 梨花が三人に声をかける。既に四人共既に楽器を手にしている。用意はできていた。
「ええ、いいわよ」
 美樹がそれに答える。
「何時でもね」
「そう、それじゃあ」
「うん」
「やってみましょう」
 春奈と赤音も応える。それを受けて四人は音楽の演奏をはじめた。
 まずはオーソドックスな演奏であった。だが次第に流れが変わってきた。
 春奈がシャボン玉を出しそれを赤音の音楽が照らす。シャボンは虹の玉になりそれを美樹の風があちこちへと漂わせていくのだ。息がびったりと合った魔法の動きであった。
 そこで梨花も地面を動かしてきた。地面が上下して彼女達もシャボンの位置もめまぐるしく変わる。何時の間にか身に着けていた素晴らしい魔法であった。
「これならいけるわね」
「そうね」 
 四人はそれぞれ頷き合う。
「あの人にもね」
「バンドって一人じゃないからね」
 赤音が言ったこの言葉が何よりも重要であった。
「やっぱりさ、皆でやるから」
「そうよね」
 それに美樹が頷く。
「だからね。皆の力を合わせて」
「いいものを作っていくのよね」
 次に春奈が応えた。
「そうやって」
「そういうことね。だから」
 最後に梨花が言った。
「これ、上手くいったから」
「曲もね」
「凄くなってきたわよね」
「クラウンっていうのはね。王冠じゃない」
 梨花はまた三人に対して語る。
「だからその王冠を皆で」
「六人で」
「被ってやりましょうよ。いいわね」
「ええ」
「六人で」
「といってもここにはあの二人いないけれど」
「それはね」
「また呼んで」
 四人はそれぞれ話をする。
「していきましょうよ」
「そういうことね」
「いやいや」
 だがここで声がした。
「その必要はないわよ」
「っていうことは」
「そういうこと」
 ひょっこりと二つの影が姿を現わしたのであった。


第三十四話   完


                2006・12・4



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