暁 〜小説投稿サイト〜
SAO−銀ノ月−
第百十九話
[8/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
っと、ぷりぶぃえぇと?」

「あらユウキ、ありがと! ええ、正真正銘のセブンよ」

 予想だにしていなかった闖入者は、確かにあの七色・アルジャービン、もといセブンだった。ALOと同じく、アイドルらしい煌びやかな格好に身を包んだ少女は、挨拶とともに帽子を取ってこちらに笑いかけた。

「学校からログインしてるのか?」

「まさか。でも、ことVR空間について、セブンちゃんに出来ないことはあんまりないの」

 アイドルとしての側面が強いからか忘れていたが、そういえばセブンは世界的にも高名なVR世界の研究者だった、ということを思い出した。仕組みは分からないが、こうして目の前にいる以上、そこに疑う余地はない。

「でも、どうしたの? セブン、忙しいんじゃ……」

「ええ。だけど、次に迷い込んできた仕事のこと、どうしてもユウキの耳に入れたかったの」

「……ボクに?」

 そこからセブンの雰囲気が、アイドルらしい笑みからVR世界の研究者としての、冷静で冷徹な雰囲気に変化した。その上でユウキに用事があると聞いて、ユウキは緊張からピクリと背筋を延ばしていた。

「わたしに回ってきた仕事の一つに、あるクエストのチェックがあったの」

 和人によって世界中に配布されたザ・シードによって、VRゲームはともかくとして、ただ一つのクエストを作るくらいならば、少しVRをかじった程度の人間でも作れるようになっていた。とはいえ作ったところで、そのクエストをするVR世界がなくては意味がないわけだが。

「幽霊が出るクエスト。そのクエストは、そう呼ばれていたわ」

「幽霊が出る……クエスト……」

 訥々と語るセブンの言葉に、ユウキは神妙な雰囲気で言葉を返した。わざわざセブンのところまで回ってくる曰く付きのクエストに、まさか幽霊系のモンスターが出る、という訳ではないだろう。

「データの内部を調査した結果は、その『幽霊』についてのことは分からなかった。でも、その中に気になる言葉があったの」

 セブンが口を開く。その言葉は、俺たちもよく知っている名前であり――故に、どうしてこのタイミングで、セブンの口から聞くことになるかは分からなかった。

「――スリーピング・ナイツ」

「――――ッ!?」

 それはユウキたちの代名詞とも言える、彼女たちのギルドの名前。流石にその名前を聞いたユウキも動揺を隠すことが出来ずに、目に見えてうろたえてしまっていた。

「わたしには、これが偶然だとは思えない。だからユウキ――」

 セブンの手がこちらに伸びてくる。その申し出が、俺たちを新たな舞台へと駆り立てた。先のフロアボス攻略戦とは違って、短い、それこそほんの一瞬の出来事だったが、だからこそ密度の濃い時間となった。

「一緒に
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ