第百十九話
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う。
いきなり生来からの性格を否定された上に、クラス中から貫かんと届く好機の目にさいなまれるとは、何か俺に恨みでもあるのか――などと疑ってしまう。
「ちょ、ちょっとユウキ、それは秘密だって……」
『あ、ごめんごめん』
「とりあえず、その……何だ?」
『キリトがね、この端末を作ってくれたんだ!』
今、何が起きているのかを、どうやって聞けば正確なのかが分からず。不明瞭な質問に対して、やたらテンションが高いユウキの声が答えてくれる。
いわく、明日奈の肩に乗った機械はキリトと他数名の生徒が作った物であり、それにユウキがALOでいうところのログインをすることで、こうして俺たちと喋っているとのことで。スリーピング・ナイツのメンバーたちは、詳しい病名は知らないがそれぞれ難病に冒されていて、代わりにVR空間で自由に活動している――とは、本人達から聞いていたが。
『おかげでさ、ボクもこうして、学校に来れたんだ!』
「まだ試しに、だけどね。何が起きるか分からないから、翔希くんも何かあったら協力してね?」
「それはもちろん。だけども……」
違う教室で授業を受けているだろうキリトの代わりにはなれないが、もちろん自分に出来ることは協力する、と明日奈からの申し出に強く頷いた。ユウキが妙にテンション高く見えるのも当然のことだったが、一つだけ気になることがあった。
「じゃあ何で秘密にしてた……?」
「……ビックリするかなって」
『……ビックリするかなって』
わ、私は二人に黙っててって頼まれて――と、言いにくそうに語る明日奈を除いて、どうやら犯人は残る二人らしい。こちらから目を逸らす里香と、そんな雰囲気を漂わせるユウキに対して、さてどうしてくれようか――と思ったその時、授業開始の鐘が鳴った。
「話は後でね!」
これ幸いにと里香は無理やり話を打ち切って、こちらを好奇の視線で見ていたクラスメートとともに、素早く自らの席に座り込んだ。それとともに教室の扉が開き、先生が入ってきて教室の雰囲気が変わってしまう。
もはやこのSAO生還者支援学校において名物となった、授業開始の鐘の音のきっちり二秒後に入ってくる国語全般の教師は、肩にユウキを乗せた明日奈をチラリと見る。それに明日奈は小さく礼を返して、もちろんのことだが学校側から今回の件について、許可は既に貰っているらしい。
「では……ちょうどよく新しい読み物からでしたね」
慌ただしくノートと教科書を用意する生徒はともかく、先生はテキストに書かれた新たな読み物を指定する。
「では、紺野さん。読んでください」
『は、はい!』
聞き慣れない名字だな、と思った最中、背後の席から機械音が混じった上擦った声が教室に
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