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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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く誰もが、あの少女の敗北を確信したはずだ。
“だが、現実はどうだ?”

この大会、この戦いたちの中で、「絶対」等どこにも存在しない。何故なら……

「お前らもそのつもりの筈だ。戦場(リング)じゃ、“これまでの実績”なんぞ、なんの役にも立たん。全部は、そいつらの腕だけが決めるんだ。気張らんとな?」
「「「「はいっ」」」」
それは警告であり、激励だった。
自分も、少女達も、彼も「負ける」という言葉であり、同時に、「勝つ」という言葉だった。それを、上っ面ではなく、根本的に、理解させられた。

「ま、それはそうと」
直後に、ライノの雰囲気が緩む。それは既に、いつもの彼のもの。彼はいつものようにニッと歯を見せて笑うと、腕を組んで踏ん反り帰る。

「その背中くらいなら、お前らでも押せる。というわけで、気合を入れて応援してやれい、チビども!」
「「!はいっ!!「は、はいっ」」」
元気よく答えて気合を入れなおす小さな応援団に笑いかけ、ライノは直後にヴィヴィオを見る。

「な?頼むぜ(ヴィヴィオ)。お前の声が、気合の一番の原動力になるはずなんだからよ?」
「……っ、はいっ!!」
こくんっ、とうなづくヴィヴィオの顔には、微笑みが浮かんでいた。

────

同じころ、選手控室では、クラナもライノ達と同じ映像を見ていた。

「…………」
「そろそろ時間か……クラナ、問題ないか?」
「あ、はい、大丈夫です」
[私も問題ありません!参りましょう相棒!]
後ろから近付いてきたノーヴェにそう答えて、クラナはアルと共にはベンチから立ち上がる。アップと、軽いシャドウも済ませた。準備は万端だ。

「あ……ノーヴェさん」
「ん?」
「これ……」
と、廊下に出たところで、クラナが懐から取り出したのは、出がけにヴィヴィオから渡された水筒だ。すでに中身の検査は済んでおり、試合会場に持ち込むことも正式に受理された。中身はまだ満タンのままで、準備運動の後は自分のものを飲んだらしい。

「飲まなくていいのかよ?」
「試合前には、まだ。必要なら、インターバルで飲もうかと……」
[ノーヴェさんから後で渡していただければと思います]
「ふーん……?」
そう言って受け取ったノーヴェは、なぜか受け取った水筒を見て、ニヤリと笑う。

「な、なんですか?」
「いやいや、実際の所どうなんだよ?大好きな妹から応援と水筒もらった心境は?」
「え”っ、あ、いやその……」
[おっ、聞きます?そこ聞いちゃいます?]
「あ、アルうるさい!」
「ほれ、今はあたししかいねーんだ、素直に聞かせろって」
ニヤニヤと笑いながらからかうように顔を近づけてくるノーヴェと、やたら楽しそうに点滅するアルにクラナが一歩後退する。

「いや、別にどうこうっ
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