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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第三章
二十九話 オブザーバー
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「!?があぁぁっ!?」
「こちらもそのつもりはない!」
今度は軸足として何とか踏ん張っていた左足が紐に取りつかれ、後方にに引かれる。そうなれば当然彼は軸を失い、前方に向かって顔面から倒れ込むしかない。さらに……

ルバート・デプス DAMAGE 130 LIFE 1450
クラッシュエミュレート:右肩部完全脱臼

利き腕である右腕が、倒れ込むのとは逆方向、背中側に思い切りひかれたことにより脱臼し、斧を取り落とす。
しかも同時に……

「これで最後だ」
「ぐぉっ……く、おぉ……!」

ルバート・デプス DAMAGE 490 LIFE 960

左腕を取られねじりあげられる。背中を抑えられた状態で右腕脱臼の挙句に左腕を取られて抑え込まれては、その後の事は言うまでもあるまい。
やがて……

ルバート・デプス DAMAGE 520 LIFE 0

「く、そがぁ……」
「……いい斧捌きだった。いずれまた」
ライフ判定により、ゆっくりと意識を沈める選手にそう言って、シュウは彼の上から退いた。

「[試合終了ーー!!初参戦ルバート選手、健闘したものの惜しくも届かず!!シュウ・ランドルフィーネ選手
前回大会に引き続き捕縛師(ガルゲン)の名にふさわしい拘束術捌きで一回戦突破です!!!」

倒れ込んだ彼がセコンドに付き添われ退場していくのを一礼して見送ってから、シュウは同じく一礼して歓声にこたえ、リングから降りた。

────

「すごい……シュウ選手もスルト選手も1ラウンドKO勝ち……」
「こんなに強い人たちと会ってたんですね私達……」
リオとコロナが感嘆したようにそう言って息を漏らす。表示されたモニターを消しながら、ライノは苦笑した。

「まぁな。IMは基本的には女子の部の方が目立つし花があるってんで一般には知られがちなんだが、男子の部も最近は知名度は十分だし、コアなファンからはこっちのが人気高かったりするんだぜ?まぁ、控室とシャワー室が汗くせー上に野郎ばっかだからバリアジャケットが壊れてもなんもねーっていう──」
[女子の部の方々が真剣に戦っているときに貴方はそんなことを考えていたわけですかマスター、最低ですね、えぇ最低ですとも、今すぐにその眼球を摘出した後単なるガラス球に置き換えなんの観察もできないようにするのが最高の方策ではないでしょうか、えぇそうしましょう今すぐそうするべきで──]
「いや冗談でごぜーますよ!?ほんとに!!」
いきなり猟奇的な事を言い出した自分のデバイスに向けてライノが慌てたように止めに入る。しかし苦笑する少女たちの脇で、ウォーロックの悪態はさらに続く。

[言っていい冗談と悪い冗談があることも分からないのですか?もしやすでにその頭の中身はおがくずでも詰まっているので
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