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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#17
MILLENNIUM QUEEN 〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE\〜
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 その言葉はエリザベスの耳を素通りし、
彼女は明日屠殺される豚でも見るような眼でオルゴンを一瞥する。
 酷烈な眼差しだが、その視線はオルゴンの嗜虐的な思考をゾクゾクと刺激した。
「フン、窮地に在っても揺るがぬ不屈の意志、確かに噂通りのようだな?
その美しさ共々踏み拉くには惜しいモノよ。ククク、早く武器を選べ」
「…… “コレ” で充分」
 視線を交えず、エリザベスは素肌を滑る薄地のマフラーを翳した。
 封絶の光を、オルゴンの放つ火の粉を透過し、
角度によっては存在しないように視える。
「フッ、不撓(ふとう)の気丈さもそこまでいくと哀れよな?
ソレとも敵の情けに縋らず終局の美を演ずるか?
その儚さもまた」 
「ワタシはいま機嫌が悪い」
 エリザベスの姿に当てられてか、
いつになく多弁になる王を澄み切った声が遮る。
「おまえのような下賎者とは口もききたくないし、顔もみたくもない。
かかって来ないなら、こちらから参りますがよろしくて?」
「――ッ!」
 正と負の折り混ざった、怒りとは別種の倒錯した感情が
オルゴンの心中に突き刺さった。
同時に存在しない筈の口唇に歪んだ笑みが刻まれ
誘い込まれるように軍勢(レギオン)が動く。
 嘗て、人間の女に心の底から魅了された虹色の王が居たが、
コレは明らかにソレを超える強烈な感情だった。
(コロス……! “殺せる……!” コノ女を! 
このオレが! “このオレだけがッ!” )
 一秒を遙かに凝縮した、意識すらも追いつかない時の(まにま)
オルゴンの感情は著しく高ぶった。
 本人すらも自覚し得ない、余りに凄まじい渇望だった。
 方円を組んだ騎士群、その手に携えた白刃が全方位から一斉に迫る。
 既に一切の回避圏はない、唯一空いている頭上も
外環に位置する部隊が鋼鉄弓を構えている。
 戦術も知略も入り込む余地などない、
交戦する前から決着の付いている敗滅の光景。
 その筈、だが。



 ヴァッッッッッッッグャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ
ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ―――――――――――――――
―――ッッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!



 女神の悠麗なる肢体を串刺しにしようと迫る白刃の脅威は、
そのスベテが触れるどころか目標の遙か前で土塊(つちくれ)のように砕け、
散り散りになった破片が路面に零れ落ちた。
 対するエリザベスは、僅かな変化すらない姿で悠然と佇んでいる。
「なん、と……?」
 歴戦の強者、名の有るフレイムヘイズや王すらも屠ってきたオルゴンをして、
驚愕を通り越し唖然とするしかない事実。
 まるで女神の周囲に不浄を滅する “結界” でも張り巡ら
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