第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#17
MILLENNIUM QUEEN 〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE\〜
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る時間だった。
しかし、彼女が震えているのは、全く別の理由。
「……サマに」
「ん?」
次はどんなに、拙 くも愛くるしい言葉が返ってくるのか、
妙に優しい口調で訊いたオルゴンにその言葉は灼き付いた。
「キサマにワタシの心は永遠に解るまいッ!」
澄み切った天空のように青い瞳に宿る黄金の炎。
『正義の怒り』
短慮や粗暴な者が牙を剥いているのとはワケが違う、
余りにも純粋で無垢で、そして何よりも熱い炎。
今まで駆逐してきた幾多のフレイムヘイズの中にも、
こんな 『眼』 をした者は一人もいない。
眩暈のするような感覚にオルゴン全員がくらつくと同時に、
エリザベスの裡で感情の堰が切れ強烈な奔流が溢れ出した。
確かに嘗て自分は、忌むべき卑劣なる策によって敗れた
(“対峙した者” は策を弄した者と同等以上の遣い手だったが、アレは一体誰だったのか?)
しかし “そんな事は” どうでも良い。
鷹揚で冷静な彼女をここまで激昂させた理由は、
オルゴンが 「弱者」 を、 “踏み拉かれて当然の存在” と断じたコト。
“もし自分がその立場に置かれたなら” と、
幼子でも解る理屈を一瞥すらしない、
余りにも無思慮で傲慢な考え。
この世界には、まだ何も解らない、
『正義』 と “悪” の存在すら知らない
生まれたばかりの赤子もいるというのに、
ソレすら力無く殺されれば“悪” だと言うのか?
そんなコトを行う者が 『正義』 か!?
そんな莫迦な話が在ってたまるか!
嘗て、オルゴンと同様の理由で人間を掻き喰らっていた紅世の徒は、
皆この炎を視た。
そしてソレを視た者は、一つの例外もなく撃ち滅ぼされた。
正に、異世界の侵略者を討ち払う、紅世の徒にとっては破滅の炎。
しかしソレが、更に更に、オルゴンの裡で芽生えた当惑と倒錯に火を焼べた。
( “コノ女” は……! コノ女はオレのモノだ……!
如何なる手段を遣おうと、必ずオレのモノにするッ!
万一殺してしまっても構わん!
“今の” オレの炎を注げば復活する筈だ!
従順なるオレの下僕として!!)
無論そんなコトはオルゴン自身も望んでいないのだが
(他の何者にも屈しないエリザベスの 『気高さ』 に惹かれた為)
しかしソレもまた、背徳の愉悦に充ちた光景。
明らかに矛盾した事を考えながら、
しかし裡で迸る熱情にそれらスベテを呑み込まれながら、
オルゴンは狂喜の喚声をあげた。
「出でよ!! “ヘクトルッッ!!” 」
瞬間、立ち並ぶ高層ビルの前面に巨大な法陣が浮き上がり、
中からソレ以上の存在が這い出してくる。
全長14メートルはあろうかという、城塞のような騎士、
ソレがなんと7
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