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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#17
MILLENNIUM QUEEN 〜PHANTOM BLOOD NIGTMARE\〜
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【1】


『フラトン・シンガポール・SPW』 3階。
 ソコは、炸裂音が断続的に鳴り響く一面の破壊空間だった。
 その直中を駆ける銀髪の青年と、彼に手を引かれて走る桜髪の淑女。
「うぬう!」
「……!」
 突如脚を止めた青年の頭上で天井が砕け、
バックリ開いた陥没痕が階下へと突き抜ける。
 咄嗟の機転で彼が立ち止まっていなければ、
眼前の損傷(ダメージ)をモロに喰らっていた所だ。
「い、一体何なのでありますか!? 
先刻から破壊は在れど姿は視えず音もせず、
非常用の階段も塞がれていたのであります!」
 青年の脇でキャミソールにミニスカートという軽装の淑女が、
(非常に珍しく)声を荒げる。
その右腕と両足には真新しい包帯が巻かれており、
左眼も覆われているため明らかに戦える状態ではない。
 部屋を飛び出してからこの10分間、
一足飛びに一階まで移動しようと試みたが
その行動は既に予想されていたらしく階段は瓦礫で埋め尽くされ、
残る吹き抜けの階段を目指す間にもこの不可思議な攻撃に晒され続けていた。
 戦況は完全に防戦一方、相手の姿も能力も見えない以上
攻撃を向ける対象が存在しない。
「まるで、ゲームだな……」
 不利な現状とはまた別の、不義に対する苛立ちをその青年、
J・P・ポルナレフは漏らした。
「取りあえずこっちだ!」
「べ、別に引っ張らなくても! 一人で歩けるのであります!」
 戦闘とは別の焦慮を以てその淑女、
ヴィルヘルミナ・カルメルは告げる。
 二人が走り出したのを皮切りに、
再び使途不明の炸裂が後を追いかけてきた。
 急速で曲がり角を通り過ぎ、その右脇にあった部屋に淑女はわけも
解らぬまま引っ張り込まれる。
「あうっ!」
 そのまま妙に柔らかい床に放り投げられ、
外を確認していた青年が両開きの扉を閉めた。
 周囲は暗闇に包まれる、宿泊部屋ではないらしく
冷たく湿った空気が肌を撫ぜた。
「な、ど、どういう……?」
 敵が傍にいるかもしれないのでヴィルヘルミナは極力抑えた声で
この場所に連れ込んだ男に問う。
 多少の暗視は効くが眼が慣れるまで数秒要した。
 ポルナレフの顔は影がかかっていて表情は伺えない。
「……」
 今いる場所は、ホテルの用具倉庫であるらしく
自分が座らされているのは救護用のマットだった。
 ザワめく気配、戦闘とはまた別種の本能的な危機感に
想わずヴィルヘルミナは後退る。
 男と女が暗闇の中で共にいる意味、
ソレが解らないほど彼女は子供ではない。
「な、何を、考えているので、ありますか?」
「都合の良い場所が見つかった、ここなら、おそらく」
 静かな声、ゆっくりと、本当にゆっくりと影が近づいてくる。
 意味不明に高鳴る動悸
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