第四章
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「この肉おかしいぞ」
「うむ、牛とも羊とも違う」
「かといって豚でも馬でもない」
「色が違うぞ」
「匂いも硬さもな」
「どの鳥でも獣でもない」
日頃常に調理をしている彼等は肉が普段調理している肉と違っていることがすぐにわかった。
「怪しい肉だな」
「どの様な肉なのだ」
「この肉を調理していいのか」
「果たして」
「だが王のご命令だ」
料理人達もタンタロスのことはわかっていた、自分を神々に等しいと言い従わぬ者には一切容赦しないことを。
「この肉を調理するしかない」
「そのうえで神々にお出ししよう」
「神々をお招きする宴だけにな」
「失敗は許されないからな」
彼等は口々に言ってだ、そしてだった。
彼等はその肉がおかしいことに気付きながらも調理をした、そのうえで。
肉を出す用意を進めていたがだ、宴は既にはじまっていてだ。
神々はその宴を楽しんでいた、しかしだった。
ヘルメスはタンタロスの後ろにいつもいる者達がやけに少ないことに気付いた、そのうえでゼウスにそっと囁いた。
「何かあった様ですね」
「そうだな」
ゼウスも彼の言葉に頷く。
「タンタロスの後ろにいる者が少ない」
「いつもは大勢いますが」
「これは何かあったな」
「そうかと」
ヘルメルもまた言う。
「これは」
「果たして何があった」
「それはまだわかりませんが」
「気になるな」
「どうにも」
二人は宴の中でこう話していた、そのうえで宴の場にいたがだ。
やがて肉料理が運ばれてきた、その肉を見てだった。
神々は血相を変えた、そしてヘルメスもだ。ゼウスに即座に言った。
「父上」
「うむ」
ゼウスも頷いてだ、即座にだった。
その場でタンタロスの不死性、アンブロジアとネクタルで得たそれを剥奪してだった。
タンタロスに落とした、彼から弁明を聞くこともなかった。そのうえで肉となっていた息子ペロプスを復活させてだった。
彼から詳細を聞いた、見れば彼は左肩の一部分が失われていたがこれはデメテルが娘のことで頭が一杯で肉のことに気付かず食べてしまいデメテルはすぐに彼のその部分の手当をしたのでことなきを得た。
全てが終わってからだ、ゼウスはオリンポスに戻ってからヘルメスに話した。
「最早だ」
「あの時点で、ですね」
「わしは決めた」
「肉を見た時点で」
「断をな」
「その断は」
ヘルメスはゼウスに対して言った。
「息子の肉を出して神々がそれを食べるのか確かめようとしたからですか」
「神々を試した、か」
「そして欺こうとしたのか」
「そんなことはどうでもいい」
これがゼウスの返事だった。
「神々を試す、欺く等はな」
「そうしたことはですか」
「神々の間でも行われていることだ」
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