第一章
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タンタロス
タンタロスはギリシアにおいて広い地域を持つ王だった、ただ強い勢力を持つだけでなくオリンポスの神々に愛され友人として扱われていた。
だがそれを見てだ、神々の一人であるヘルメスはとりわけ彼を寵愛し親しい友人として扱っていたゼウスに謹言した。
「父上、タンタロスですが」
「言いたいことはわかっている」
ゼウスは天空の神、つまりオリンポスの主神の座からヘルメスに答えた。
「待遇がよ過ぎるというのだな」
「それで驕るのでは、いえ」
ヘルメスはここで己の言葉を訂正した。
「むしろ既にです」
「驕っているというのだな」
「そう思いますが」
「あの者のことは私もわかっている」
ゼウスは全てを見ている目でヘルメスに答えた。
「私とて天空の神だからな」
「あの者を空から見ることが出来る」
「あの者だけでなくな」
この世のあらゆる生きもの、そして物事をというのだ。
「だからわかる、そして過ちがあればだ」
「父上に」
「それは正す」
即座に、という言葉だった。
「そうする、しかしだ」
「今のタンタロスはですか」
「確かに驕っている」
ゼウスもわかっていることだった。
「神々の食事を人に分け与えているそうだな」
「私は見ました」
ヘルメスはゼウスに確かな声で答えた。
「あの者がアンブロジアをこっそりと懐に入れてです」
「親しい者達に分け与えていたな」
「このオリンポスの宴に呼ばれた時に」
「それもわかっている」
「では」
「その程度はいい」
ゼウスはヘルメスに鷹揚に答えた。
「アンブロジアはこのオリンポスのみに実る果実でありだ」
「人は食することが出来ても」
「植えることが出来ず絶えず食せねば力は溜まらず得られない」
こうも言ったのだった。
「だからいい」
「そのことについても」
「そうだ、あの者は驕っているがそれだけだ」
「ならいいのですか」
「若しもだ」
ここでだ、ゼウスは表情を変えた。真剣で厳しいものにさせてだ。
そしてだ、ヘルメスにこう言ったのだった。
「あの者が人として許されないことをすればだ」
「その時はですか」
「コーヒー私はあの者への友情を捨ててだ」
「友情を向けるに値しないまでに堕ちたなら」
「その時は断固としたことをする」
「そうされますか」
「私は嘘は言わない」
このことを強く誓ったゼウスだった。
「決してな」
「それは確かに。私はです」
ヘルメスは自分のことをここで言った。
「嘘は言います」
「そなたは仕方ない」
「盗賊達の守護神でもあるからですか」
「そうだ」
だからだというのだ、彼の場合は。
「そなたはいい、司っているものがそれだからな」
「しかし父
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