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たらしも使いよう
第四章
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 ペーターは驚いた、それで交際がはじまって暫く経ってからだ。クライストの家に行ってそのうえで彼に事情を話した。
 そのうえでだ、彼の目を観て問うた。今日も飲みものはハンブルグで買ったコーヒー豆で煎れたコーヒーだったがお菓子はチーズケーキだ。
 そのチーズケーキを食べつつだ、ペーターはクライストに尋ねた。
「クライストさんの言う通りにしたら」
「上手くいったな」
「はい、今じゃ本当に」
「交際出来ているな」
「もう何度もデート出来ています」
「そしてそれ以上の関係にだな」
「なっていますけれど」 
 それがどういった関係かはお互いあえて言わなかった、この辺りは二人共わかっていて行間に入れていた。
「それでもですよ」
「何故わしの言った通りにしたら」
「なったのか」
「それが不思議だな」
「クライストさん確かあの時」
 相談に乗ってもらった時のことをだ、ペーターは言った。
「彼女の写真を見せたら」
「それでアドバイスをしたな」
「それだけだったじゃないですか」
 まさにというのだ。
「それでどうして」
「わかったからな」
「わかった?」
「彼女の写真と御前さんを観てな」
「それだけで、ですか」
「わかったからな」 
 だからだというのだ。
「全てな」
「ええと、どうすればいいのか」
「まず携帯の写真を撮ることを快諾してたな」
「はい、その場で笑顔で」
「君から言ったな」
「そうでした」
 その通りだとだ、ペーターも答えた。
「実際に」
「そして写真では明るい屈託のない笑顔だった」
「彼女も」
「そこで脈ありと確信した、わしはな」
「あの時でそこまで」
「わかった、そして彼女の写真を観てその性格や趣味もわかった」
 そうしたこともというのだ。
「全部な」
「それでそのうえで」
「御前さんを彼女の好みに合わせたのだ」
「それで、ですか」
「今の御前さんがある」
「何か魔法みたいですね」
「何、これ位出来ないとな」
 笑ってだ、クライストはペーターに返した。
「無理だったからな」
「無理だった?」
「ロミオは知ってるか?」
「ロミオですか」
「そうだ、ロミオだ」
「あのロミオとジュリエットの」 
 この名前を聞いてだ、ペーターはまずはあまりにも有名なシェークスピアの代表作の一つのタイトルを思い出した。
「あれですか」
「そして他にも思い出さないか」
「ええと、それは」
「歴史の本でなかったか、東側のロミオだ」
「それってまさか」
「聞いたことがあるな」
「東ドイツの工作員ですね」
 東側と言われてだ、ペーターも思い出した。
「西ドイツ政府の女性職員をたらし込んで情報を手に入れるという」
「それだ」
「まさかクライストさんは」
「わかっ
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