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第十七話

              第十七話  コンクールが終わって
 見事コンクールに優勝した次の日。華奈子は美奈子と一緒に二人の部屋でくつろいでいた。
「ねえ美奈子」
 最初に声をかけたのは華奈子であった。
「まずは上手くいったわね」
「ええ」
「優勝したけれど」
「わかってると思うけれど大変なのはこれからよ」
「わかってるわ」
 それがわからない華奈子ではなかった。
「けれど。これからどうするの?」
 そのうえで尋ねる。
「まだ何も考えてないけれど、あたしは」
「私に一つ考えがあるわ」
「何するの?」
「ライブよ」
「ライブって場所ないわよ」
「街でするのよ」
 美奈子は言った。
「街で?」
「そう、街でね」
「あっ、わかったわ」
 華奈子はそこまで聞いてすぐにわかった。
「路上ライブね」
「ええ。コンクールでの優勝がいい宣伝になるし」
「それに練習にもなるし一石二鳥ね」
「いいでしょ、それで」
「うん、それじゃあ美樹ちゃん達にも話してね」
「あとね」
「何?」
「私達も笛の練習しないとね」
「あたしのサックスと」
「私のフルートもね」
「そうね。この前はダンス主体だったけれど」
「私達は笛もあるからね」
「そうよねえ、そっちもあるのよね」
「とりあえず今はそれをやっていって」
「それからどうなるかしら」
「まずは路上でやるわよ」
 それからのことは今は言わなかった。流石に美奈子は賢明だった。頭の回転は早いがそそっかしい華奈子とはここが違っていた。
「それからよ」
「そうね、それからね」
「いいわよね、それで」
「うん、あたしもサックス不安だしね」
「いえ、華奈子のサックスはかなりいいわ」
「そう言ってもらえると嬉しいな」
 褒めるとやる華奈子の性格はわかっている。ここは流石に双子であった。
「じゃあやるわね」
「ええ、やりましょ」
 決意をあらたにする二人であった。そして路上ライブへと向かうのであった。



第十七話   完


               2006・10・4



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