第三章
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彼に栄養費を渡す、それも何度も。相手のチームを近寄せない様にして慎重にことを進めた。そしてだった。
入団会見となった、彼は無事にチームに入った。だが。
その入団会見の後でだ、監督はまた料亭に入り親分衆に言った。
「今回は助かったわ」
「いやいや、これは仕事ですから」
「わし等の仕事です」
「そやからです」
「やらせrてもらいました」
「そう言うか、けどほんまに助かった」
無事に選手を獲得出来たというのだ。
「あんた達のお陰でな、そやから今日は好きなだけ飲んで食ってくれ」
「この店で」
「そうしてええですか」
「それでや」
監督はここでぽんぽんと手を叩いた、すると。
部屋の障子がすっと開きスーツの男が来てだった、監督と親分衆が座っている席の台の上にだった。
かなりの量と厚さの札束を置いた、監督はその札束を前にして親分衆に言った。
「これはほんの礼や」
「ですか、では」
「有り難くもらっときます」
「そうさせてもらいます」
「遠慮はいらんかなら、ほなな」
その札束を収めさせてからだ、監督はまた言った。
「今から乾杯しよか」
「無事にことが進んだこと」
「あの選手が手に入ったこと」
「そうしたことをですな」
「今回は上手くいった」
このことを心から喜んでだ、監督は言うのだった。
「そやからな」
「はい、ほな」
「今から乾杯しましょか」
「勝利の美酒ですな」
「日本一になったらもっと美味い酒が飲める」
監督は笑って言った。
「そうなるわ」
「けど今は」
「あの選手獲れたお祝いにですな」
「ここで飲みますか」
「そうしよな、無礼講や」
こう話してそしてだった、監督は親分衆と料亭での馳走と美酒を楽しんだ。
こうした話はドラフトが日本にも導入されるまであったという、選手獲得にそうした世界の人間が裏で動いていた。そして球界はおろか日本を代表するスーパースターにもこうした話があったらしい。
今はドラフトが導入されこうした社会との関係も少なくとも相当に減ったという、だが選手側からの指名が導入されてまた裏金が生まれたという。
華やかなプロ野球の世界も闇がある、このことは子供達の夢を壊すことかも知れない。しかし真実は書いておくべきと思いここに書き残した、こうした話がかつてあったということを覚えてもらえると筆者としては幸いである。
裏仕事 完
2016・5・18
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