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第十四話
第十四話 切り札を切って
華奈子がサーフィンUSAを歌いだす。ダンスを交えて。
客達が驚いているのはダンスだけではない。華奈子の歌唱に対してもだ。
「おい、巧いぞ」
「それに英語も」
英語も完璧だった。だがこれは楽器組には意外なことであった。
「どういうこと!?」
彼女達は後ろで囁き合う。
「華奈子ちゃんが英語話せるなんて」
「有り得ないわよ」
「それはね、歌だからよ」
「歌だから!?」
「ええ、華奈子はね、歌だったらやるのよ」
美奈子は華奈子を信頼しきった声で言う。
「英語でも何でもね」
「そうだったの」
「そうよ、だから大丈夫」
太鼓判まで押す。
「ここは華奈子に任せて」
「美奈子ちゃんが言うんならね」
それにリーダーである梨花が頷いた。
「それに華奈子ちゃんのってるしね」
「ここは任せてもいいわね」
「そうね、じゃあ私達は盛り立てるわ」
「有り難う」
美樹、春奈、そして赤音にも応える。美奈子はコーラスとダンスに回る。それで華奈子のバックアップに回った。
華奈子はノリよく歌とダンスを進めていく。観客の心は完全に掴んでいた。
「このままね」
美奈子がそれを見て会心の笑みを浮かべる。
「サーフィンUSAは大成功、次は」
自分の曲に思いを馳せる。
「私の番ね」
曲は最後に近付いていく。ここで華奈子は勝負に出た。
「よし!」
派手にバク転をする。曲が終わると同時にそれを決めてポーズを取る。運動神経が抜群の華奈子でなければとても出来ないようなことだった。
「やったわね」
「ええ」
美奈子が応える。観客席は拍手の坩堝であった。
「あたしは決めたわ」
後ろでポーズを取る美奈子に応える。
「今度はあんたの番よ」
「わかってるわ」
美奈子はそれにこくりと頷く。
「任せておいて」
「ええ。それじゃああたしは」
華奈子は言う。
「今度はサポートで」
「お願いするわね」
くるりと裏返る。華奈子と美奈子が逆になる。そして。
美奈子の歌がはじまった。今度は。中国の歌であった。
第十四話 完
2006・9・25
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