第一章
[2]次話
ストライブ
赤と白、青と白。組み合わせは色々だけれど。
二色のその模様、彼はいつもその模様のシャツを着ている。
私は彼が今着ている青と白の横の模様のそれを見てだ、彼にくすりと笑って言った。
「何か水兵さんみたいね」
「ああ、この模様だからか」
「ええ、そう思ったけれど」
「別にな」
彼は笑って私に答えた。
「意識して着ていないけれどな」
「けれどよね」
「言われてみればそうだな」
自分でもこう言った。
「水兵さんみたいだな」
「そうでしょ」
「これで帽子を被ったらな」
あの縁のない帽子だ、映画とかでよく観る。
「完全にそうだな」
「なってみる?」
「いや、そこまではしないさ」
彼は笑ってこうも答えた。
「今はな」
「そうなのね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「この服いいだろ」
青と白の横のストライブの服をだ、彼は私に笑って見せてきた。
「格好いいし似合ってるだろ」
「まあね、ただね」
「ただ?」
「いつもじゃない」
その彼にだ、私は苦笑いになって告げた。
「ストライブの服は」
「好きだからな」
「それでっていうのね」
「いつもなんだよ」
「ストライブの服っていうのね」
「上着はな」
「それじゃあ似合ってるも何もね」
「ないっていうんだな」
「いつもじゃ」
それならとだ、私はまた彼に言った。
「そうも言えないわよ」
「そうか」
「そうよ、冬はセーターを着ていても」
「その下はな」
「やっぱりストライブだし」
それこそ夏も冬もだ、彼はティーシャツだ。
「インナーにもでしょ」
「冬はな」
「それじゃあね、本当に似合うも何もないわよ」
「やれやれだな」
「やれやれじゃないわよ、まあ似合うって言われれば」
まただ、私は彼に言った。
「そう言ってもいいわ」
「そうか、じゃあな」
「明日もそれからも」
「ストライブ着るな」
「そうするのね」
「好きだからな」
彼は明く笑ってだ、私に言った。そして実際にだ。
彼はストライブの服を着続けた、それは結婚してからもだった。
上着はストライブだ、私は夏に上は黒と白の縦縞のシャツを着て家でビールを飲んでくつろいでいる彼に言った。
「野球の試合観る?」
「?何でだよ」
「その服を見たらね」
「ああ、この服か」
「黒と白の縦縞でしょ」
「阪神だな」
「そう思ったからよ」
だから彼に言ったとだ、仕事から帰って家でくつろいでいる彼にまた言った。
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