暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第240話 味方
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 画面を滑らせて、アドレス帳からリュウキ――隼人のページを呼び出し、そこで固まった。

 すべてを打ち明けて、リュウキの胸の中に飛び込んでしまいたい。
 
 心の葛藤を、大好きな人にも聞いて貰って、全部抱きしめてもらいたい。

 そうすれば、あの22層の森の家の中の様に――。外は雪で覆いつくされて、肌を刺す様な冷気が支配した気候の中でも、変わる事の無かった温もり。
 
 そう、きっと 心が温まる筈だから。

 
 だけど、それでも最後のボタンを押すことは叶わなかった。


 すべては自分たち家族の問題だったから。抗う事の出来ない自分の弱さが招いた事だったから。……何よりも、それは、決して間違っている訳ではない。今まで、自分たちが経験してきた恐るべき犯罪やべき陰謀とは違う。

 それでいて、抗う事が出来ない絶対的な現実。
 幼いころから規定されていた方向へ通し流れていく冷徹な現実だから。

 玲奈はぐっと端末を強く握ると……直ぐに緩めた。そのままスリープボタンを押して、ジャケットのポケットに戻そうとしたその時だった。

 まるで、すべて見てくれているかの様に、まるで 心が通じたかの様に、眠らせた筈の携帯端末が目を覚ましたのだ。
 間違える筈の無い着信音(メロディー)と表示される、相手の名を見て、玲奈は思わず目に涙を浮かべた。

 どうしても押せなかったボタンが、今 漸く押す事が出来たんだ。

「……リュウキ、くん?」
『ああ。こんばんは。玲奈』

 時間にしてみれば、たったの1~2時間程だった。
 なのに、体感ではもっと――、ずっと声を聴けてなかったかの様な感覚に陥ってしまったていた。

『遅くに悪かった。……今は、大丈夫か?』

 リュウキの気遣ってくれている言葉。

 レイナは、直ぐに返事をしようと思った。……でも、いつもの様に、いつも通りに接する事が出来なかったのは、仕方のない事だ。今の今まで、葛藤し続けていたのに、凍てつく冷気の中で、突如、温もりを持ってしまった感覚。身体も心も追いつかなかった。

『………レイナ?』
「う、うぅん? だ、大丈夫だよ。ちょっと驚いちゃっただけだから。だって、隼人くんの事、ちょうど考えてた時に、だったから。すっごく驚いちゃって」

 咄嗟に、レイナはおどけて見せた。
 きっと、今の自分の表情を見られてしまえば、一発でバレてしまうだろう。目には涙が溜まり、殆ど零れ落ちそうになっていた。声は何とか涙声を堪えて、自然にする事が出来たけれど、今の表情と声は非常にアンバランスだから。

『………』

 その後はレイナは、必死に笑って、そしていつも通りを強調させる様にした。
 大丈夫、大丈夫、という言葉を何度も使った。リュウキに心配をかけ
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