百八 共闘
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胸元から広がる【呪印】に、ひそやかに眉を顰める。
(ナルト様が病気を治してくださったおかげで、そこまで負担はかかっていない…。だが、)
【状態2】になるのなら話は別だ。
【状態1】だからこそ呪印に蝕まれるスピードが遅いものの、浸食され尽くしたら己を失くす。強制的に力を引き出せる反面、死の危険を伴う。それが【呪印】だ。
だがその前に、長時間の【呪印】解放は徐々に身体が浸食されると同義。それならば。
(あまり時間はかけていられない…やはり【状態2】になって、)
『―――君麻呂』
刹那、君麻呂は全身を槍に貫かれたような錯覚に陥った。
君麻呂の良からぬ考えを一蹴するかのように、脳裏に響く声音。
名を呼ばれただけなのに、心臓を鷲掴みにされたかのように凍りついた君麻呂は、暫し声を失った。
『君麻呂。それ以上の【呪印】解放は認めない』
「――な、ナルト様」
【念華微笑の術】で語りかけているにもかかわらず、動揺した君麻呂は思わず声の主の名を口にする。傍にいない相手の声を聞いただけで狼狽する君麻呂の脳裏に、ナルトは【念華微笑の術】で直接彼を咎めた。
『君麻呂。お前は【呪印】に頼らずとも十分強い。それに、周りをよく見てみろ』
ナルトに促され、君麻呂は改めて周囲を見渡した。そこで彼は初めて、かつての自分には無かったモノが見えた。
それは、似た者同士であり、相容れない存在であり、決して負けたくない相手の…。
不意に、ギタイの伸縮自在の手が君麻呂に襲い掛かった。頭上から迫り来るギタイの腕は君麻呂の前にあった大岩を突き、爆発させる。
爆発の余波を受ける君麻呂の全身から禍々しい文様が緩やかに引いていった。【呪印】を抑え込んだ君麻呂を見て、ギタイが嘲笑する。
「あんれ〜?その妙な模様が無くなったらチャクラがやけに少なくなっちゃったでありんすよ〜?引っ込めないほうが良かったんじゃありんすか〜?」
「必要無い」
そう断言する君麻呂の表情は何故か苦々しいものだった。
左肩に手をやり、引き抜かれる骨の太刀。脊柱の鞭よりも威力が低いはずの太刀を眼前に掲げる君麻呂を、ギタイは呆れた眼で見遣った。
「そんな骨一本でどうするつもりでありんす?」
自分に到底届かない長さの太刀を鼻で笑うギタイの視線の先で、墜落する岩の影で君麻呂の姿が一瞬掻き消える。瞬間、宙を舞う岩を蹴って、君麻呂がギタイの懐に飛び込んできた。
相手の急な接近に、ギタイの反応が僅かに遅れる。反射的に伸ばした腕を無駄の無い身のこなしで避けた君麻呂が骨の太刀を繰り出した。しかしながらその突きはやはりギタイに到底届かない。
「ソレじゃ、リーチが足りないでありんす。まだ、さっきの鞭のほうがマシだった……アガッ!!??」
嘲りの言葉
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