第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#15
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREZ 〜Trust Ambivalent〜
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モノが悉く壊れ尽くした周囲の惨状を窺えば明らかに
違和感の在る光景。
名うてフレイムヘイズだろうが紅世の王だろうが、
墓も残らない程に木っ端微塵となった肉片と化していなければならない筈だ。
その少女の動揺を利用し、復活のフレイムヘイズ、シャナは敢えて質問に答える。
「確かに、空にも地上にも逃げ場は一切なかったわ。
もし “此処じゃなかったら”
他の場所でアノ焔儀を繰り出されていたら、
どうやって切り抜けたか解らない」
揺らめく炎気の陽炎に、血の雫が落ち蒸発した。
「でも逃げ場って、 『空と地上だけじゃないのよ!』
こういう近代的な場所なら、その 『更に下』 が在るの!!」
「――ッ!」
息を呑むティリエルの眼前で、属性の違う二つの炎気が叩きつけられて
結合し一つの巨大な球と化す。
先刻、落下の寸前に承太郎から告げられた言葉は 「地下」 へ行け。
その忠告を是としたシャナは夥しいイバラの波を掻き分けながら
地下鉄の昇降口へと転がり込んだ。
そのまま凄まじい地響きの轟く頭上を警戒しながら
暗闇の線路を大樹の方向へと一挙に駆け抜けた。
地盤沈下や天災の影響を考慮して充分以上に補強された都市の地下施設。
自在法なら現代最強のフレイムヘイズ、
マージョリー・ドーにも匹敵するティリエルの極大焔儀も、
その射程距離はあくまで 『視界のみ』 に留まり
瞳に映らない場所はノーマーク。
その間隙を突き不動の大地を 「盾」 として、
シャナは受けるダメージを最小限に見事生還を果たしたのだ。
しかも相手の警戒が解け、焔儀を練る時間も得られるという絶好の状況で。
「フ、フフ、フ、考えましたわね。
人間達の造った地下空間に身を潜ませて直撃を避けるとは。
しかしそんなコトで私の焔儀を封殺した等と想わない方が良いですわよ。
同じ躱し方は二度通用しませんし、
いいえ、仮に通用しても、もう一度受けたらアナタもう立てませんわよ」
動揺を呑み込み冷然とそう告げたティリエルは、
再び焔儀発動の構えに入りソレに感応して大樹の蔓がザワめく。
「しかも今度は、 “全力” で撃ちますわ。
創痍のアナタ相手に、虚を突く必要はありませんものね」
変貌を始める蔓を背後に、ソラトがティリエルを護るため前に出る。
このような布陣を領かれてしまっては
シャナの焔儀を直撃させるのは不可能に等しいが、
少女はそんなコトどうでも良いように不敵な笑みを浮かべる。
「フフ、フ。 “もう一度撃つ” ね。
でも出来るかしら? 誰か忘れてない?
アイツがそんなコトさせると想うの?
っていうか、アイツに同じ手が二度通用すると想うの?」
「!」
無論ティリエルも、もう一人の存在を忘れていたわけではない。
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