第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#15
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREZ 〜Trust Ambivalent〜
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散らす幻想の大樹。
さながら大地への 「敬意」 を忘れた人間達に
天からの断罪が降ったかのような、
荒廃の中にもある種の畏怖と神聖さを想起させる光景。
ソノ御遣い足る聖霊の如き威力を行使した少女の髪を、
頽廃の旋風がしめやかに揺らした。
「わあ! スゴイ! スゴイよティリエル!!
隠れた街ごと粉々にしちゃったね!!」
少し離れた蔓の上で、ソラトが剣を片手に掲げ嬉々とした様子で
無邪気に飛び跳ねている。
「……」
その様子を認めたティリエルは戦闘中には一度も見せなかった
柔らかな微笑を浮かべ、額を伝う雫を気品ある仕草で拭った。
「お疲れさまでした。お兄様。
アナタが私の指示通りに動いてくれた御陰ですわ」
「え? そう? ボクあんまり考えないで戦ってたんだけど」
「フフフフ、それで良ろしいんですわよ。
お兄様のそういう所も計算の内ですわ」
動く者のない、荒廃した瓦礫の大海原で無垢な双子の声が流れる。
「ねえ! ねえ! コレでDIOサマ、
ボク達のコトほめてくれるかな?」
「さぁ……統世王様は兎も角、エンヤ姉サマにはお叱りを受ける事を
覚悟しておいた方が良さそうですわ。
何しろ無断で出てきてしまいましたから」
「お、おしりとか、叩かれるの?」
スタープラチナの拳撃にも怯まなかったソラトが、
顔を蒼白にして両手を腰下に当てる。
その様子を可笑しがったティリエルが、
花片の装飾で彩られた手を口唇に当てクスクスと笑った。
「お叱りは、私一人で受けますわ。
お兄様は、私が無理に付き合わせただけですから」
「ダ、ダメだよ! おしおきされるの怖いけど、
ティリエルだけが怒られるのもっとヤダもん!」
「お兄様……」
気弱で臆病で、自分がいないとまだまだ心もとないが、
それでも懸命に自分を護ろうとする兄の想いにティリエルは
衝撃と共に不思議な温かさを感じた。
「麗しい兄妹愛の最中に悪いんだけど、
まだ勝ったと想うのは早いんじゃない?」
意識をソラト一色に支配されていたティリエルの背後で、
予期せぬ声が響いた。
「な!?」
幹から離れた蔓の上から更に30メートル先の空中、
粉微塵になって息絶えた筈のフレイムヘイズが
確かな存在感を以て屹立していた。
額から血を流し、千切れてズタボロになった黒衣から眼の眩むような
紅蓮の双翼をその背に押し拡げて。
更に鮮血の伝う両手には、繰り出す焔儀の基となる存在の力が
大きな渦の形容と成って集束している。
「な、何故!?」
戦闘中相手に問う事は無意味に等しいが、
自在師としての自負故本能的にティリエルは訊いていた。
視た所受けたダメージは相当のようだが、
しかし形在る
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