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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#15
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREZ 〜Trust Ambivalent〜
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私を射程外に投げて、
一人で “アレ” の相手するとか
考えてるならまっぴらごめんよ。
この手は絶対離さないから」
 己の超近距離、胸元から小さな顔を覗かせるシャナが強い視線で見つめてくる。
「馬鹿野郎が……」
「おまえに言われたくない」
 破滅の砂時計が刻一刻と零れ落ちているにも関わらず、
二人は自分達以外誰もいないように静かな言葉を交わした。
「さあ! 名残惜しいですがお別れですわ! 
“Labanaktis (おやすみなさいませ)!” お二方!!」
 左右に展開した両腕を再び前方で混じ合わせるティリエルに連動して、
夥しい数のイバラが一本の例外もなく津波のように荒れ狂う。
 空間を刻むかの如く、気流すらもズタズタにして襲い掛かる暴虐の波濤を前に、
承太郎はシャナを胸元に深く抱え込んでギリギリまで引き付け、
彼女も恐怖を信頼で打ち消し懸命に堪える。
「今だ! 『能力』 解除しろ!!」
「了解!!」
 普段黒衣に滞留している微弱な存在の力をも消し去り、
重力の支配を受け入れた二人の身体は大地へと急速に落下していく。
 途中ビルの壁面を同時に蹴り付け加速し、
すぐ背後にイバラの群れを引き連れながら
罅割れたアスファルトが瞬時にズームアップする。
「「(さん)ッッ!!」」
 落下の勢いを微塵も殺さず、路面を爆砕した二人はそのまま真逆の方向に大きく離れる。
「フフフフフフフフフフフフフフフフフフッッ!!
無駄!! 無駄ですわよッッ!! 
私の焔儀は射程領域のスベテに微塵の隙なく降り注ぐ!!
建物の中に逃げ込んでもその壁ごと粉々ですわッッ!!」
 まるで敬愛する主が取り憑いたかのように、
破壊の愉悦に浸るティリエルの声が頭上から到来する。
「「邪魔だあああああぁぁぁぁぁぁッッ!!」」
 相対の位置、200メートルの距離で意図せず声が重なり、
承太郎とシャナは行く手を塞ぐイバラの群れを手刀と大刀で切り裂く。
 だが余りに数が多くその殺傷力も高いため数撃喰らい、
千切れた繊維と共に鮮血が飛び散る。
 その間にも狂乱の操作系自在法を編み込まれた異界のイバラは、
予測不能の動きで無差別にのたうち大気を引き裂き大地を穿つ。
 長い長い時を懸けて構築されてきた人間の文明が、
その叡智が、営みが、瞬きの間にいとも容易く崩れていく。
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――――――――――――――ッッッッッッッッ!!!!!!!!!」」
 極限の精神の咆吼と暴虐の壊滅音。
 勝ったのは何れだったか、しかしその僅か数秒後、
無数の高層ビルが立ち並ぶ近代国家の街並みは、
天空への遮蔽物無き平地と化した。
 後に聳えるのは、神秘的な山吹色の火の粉を
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