第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#15
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREZ 〜Trust Ambivalent〜
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普遍性を以て始めて完成に至る。
「ごきげんよう」
「ガッ!?」
バガァッ! と、既に構成されていた鉄球クレーンのような蔓の塊が
振り子運動でスタープラチナに叩きつけられ、
ガードごと吹っ飛ばされた承太郎は
頭蓋に響く振盪音を聞きながら急速で落下した。
「承太郎ッ!」
眼前で惚けたように口を半開きにしているソラトを完全に無視し
(追撃の可能性等考えずに)シャナは蔓を蹴り破って彼に追い縋った。
そのまま小さな手で長身の躯を覆うように抱え、
絶対に離さないようきつく力を込める。
側頭から滴る鮮血と一緒に、麝香と何かの入り交じったいつもの彼の匂いがした。
「ぐぅッ!」
甘美な微睡みから無理矢理覚めるように、
承太郎は口元を軋らせて顔を上げた。
ほんの数瞬とはいえ意識が飛んでいたのか、
瞳の焦点がおぼつかない。
「……よう、悪ィな。また世話かけちまってよ」
「バカバカバカ!! 何で攻撃しなかったのよ!! そうすれば……!」
自分の援護よりも、承太郎が傷ついた事にこそシャナは声を荒げた。
助けるのは、護るのは当たり前、
今までずっとそうしてくれたんだから
いちいち礼なんか言うなとも想った。
「取りあえず 『ツケ』 とけ、後で何でも言う事聞いてやっからよ」
「え? な、なん、でも?」
紅世の黒衣 “夜笠” の能力に支えられながら、
二人は重力を無視して空間に静止する。
しかし互いの心情を交感する間なく、巨大な存在の蠢く気配が肌を擦る。
「さっきから連続して攻撃してンのに、よくバテねーもんだ。
小僧のサポート役かと想ったがバリバリの主力型。
この戦いで真に恐るべきは、アノ “女” の方だ……!」
「ソラトっていう方は指示に従ってるだけみたいだしね。
単純な攻撃と援護防御しかしてないけど、
複雑に戦形を換えられるアノ女が司令塔なら却って相性が良いのかも」
車や店舗を踏み拉きながら街路を直進してくる幻想の大樹。
解れた夥しい数の蔓を天空にうねらせ迫って来る様は
呪われた魔界の植物のようにも視える。
その蔓の先端に大剣を片手で携えたソラトが立ち、
背後数百の群れを引き連れ一斉に雪崩れ打つ。
大剣の殺傷力を裡に秘めた同時波状攻撃。
瞬時にそう解し背と背を合わせた承太郎とシャナの眼前で意外。
「えい」
子供っぽいかけ声でソラトが足下の蔓に大剣の切っ先を突き立てた。
即座に効力を発生させる紅世の宝具 “吸 血 鬼”
込めた存在の力のより射程距離が変化するのか周囲を取り巻く蔓全体が
薄紙のように裂け、しかし突進の勢いはそのままに山吹色の断片は
散弾となって二人に襲い掛かる。
「オラオラオラァァァァァァァ―――――――ッッ!!」
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