第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#14
PHANTOM BLOOD NIGHTMAREY 〜Blazing Beat〜
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ら。
正直、合わせる顔がない、男として、最低の事を行ってしまった。
そう想い俯く花京院の瞳が一抹の色彩を捉えた。
「き、ず……」
さらりと伸びてきた細い指先が、美女の頬に触れる。
顔以外に視線を巡らすと瀟洒なタイトスーツにも
焼け焦げのような痕が幾つもあり、破れた繊維から素肌が露出していた。
「……」
軟弱な者ならば、劣情に促されその部分を凝視し
救い様の無い醜態を晒している所だが、
無論そのような卑俗を持たない花京院は
ただただ悲痛な表情のみを浮かべる。
「怪我、したんですか? アイツと戦った時に……
大丈夫、ですか? どこか痛む所、ありませんか?」
今更謝罪などしてもどうにもならないので、
せめて自分に出来る事を探そうと花京院は傷ついた身を起こす。
「――ッ!」
一番辛いのは、苦しいのは自分の筈なのに、
そうやって自分の事ばかり想い遣る姿がどうしようもなく
“アノ娘” と重なって、双眸が濡れる。
だから、 “アノ時” と同じように。
「バ――」
美女の慈愛の面折は、乾いた銃声で掻き消された。
後背部、丁度心臓のある位置に尖鋭な銃創が穿たれ一瞬跳ね上がった
マージョリーの躰が、そのまま花京院に倒れ込んでくる。
「「マージョリーッッ!!」」
人間と紅世の徒、二人の男の声が重なって響き渡る。
通常、幾ら口径の大きい銃でも、マージョリーのような
強大なフレイムヘイズを屠る事は不可能。
裡に宿る王の力がその殺傷力を上回るからだ。
何より銃口の向き、銃爪を引くタイミング、
相手の殺気の有無等諸々の理由で 「着弾」 そのものがまずしない。
その防御面回避面を無視して狙撃を受けた事実、
マージョリーの鋭敏な聴覚は超長距離から発せられた
銃声と飛来音を確かに捉えていたのだが、
弾丸はソレとは 「真逆」 の方向から襲来した。
フレイムヘイズの防御能力を上回る破壊力を有したまま。
その惨状を、1500メートル先で見据える、猛禽のような視線。
高層マンション22階、空室の窓から黒光りする細長い銃口が
微細な振動すらなく肘骨に固定され、二人に向けられていた。
「チッ、空条 承太郎はこっちに来なかったか……
フッ、まぁ良い。戦いはまだ始まったばかり……
アノ二匹を始末した後、すぐにでも狩り出してやる……」
そう呟いた男、“ジョンガリ・A” は
精妙な造りのスナイパー・ライフルを抱え、
冷酷な微笑を口元に刻んだ。
←TOBE CONTINUED…
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