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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十一話 ワイングラス
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に溢れる蒼氷色の瞳、その瞳は周囲から危険視されるだけだった。そして今排除されようとしている。司令長官は私に彼らに関わるなと言っている。

分かっている。司令長官は以前から私に彼らに関わるなと警告を出していた。それでも聞かなければならない事がある。

「アンネローゼ、グリューネワルト伯爵夫人はどうなりますか?」
「もう止められよ男爵夫人」
リューネブルク中将が私を止めに入ったが無視して司令長官に迫った。

「どうなりますか?」
「……」
司令長官はまたワイングラスを見ている。
「教えてください、閣下!」

私の問いかけに司令長官は溜息を吐いて話し始めた。
「……、不幸な方です。伯爵夫人さえ居なければローエングラム伯の急激な台頭は無かった。キルヒアイス准将も穏やかな一生を送れたでしょう……」

視線を逸らし他人事のように話す司令長官に思わずカッとなった。
「閣下! はぐらかさないでください。彼女はどうなるのです?」
「もう止めてください!」
フィッツシモンズ中佐が声を上げた。強い目で私を睨んでいる。でも退けない、アンネローゼは私の友人なのだ。

「……死罪という事も有り得ると思います」
静かな声が流れた。
「そんな……」
抗議する私を司令長官は手を上げて宥めた。

「伯爵夫人が私の暗殺に加担しているという事は無いでしょう。ですがローエングラム伯が簒奪を望んでいたとなれば当然伯爵夫人もただではすまない。彼女の処遇については最終的には陛下がご判断を下す事になりますが、リヒテンラーデ侯の意見が大きく影響するでしょうね」
「……」

リヒテンラーデ侯……。険しい眼光を持つ老人、侯はアンネローゼをどうするだろう。ベーネミュンデ侯爵夫人の事が頭をよぎった。司令長官なら侯にアンネローゼの助命を……。
「無駄ですよ」

驚いて司令長官を見た。司令長官はまたワイングラスに視線を向けている。
「リヒテンラーデ侯に私の口添えを期待しているなら無駄です。侯は私がローエングラム伯に甘いと言って怒っていました。私が口添え等したら反って逆効果です。その甘さを叩き直してやると言ってね」

「甘いのですか?」
「ええ、お前の甘さのせいで皆を危険に晒したと怒られました。実際その通りです。自分の甘さが嫌になりますよ」
司令長官が微かに笑みを浮かべた。暗く何処か自らを嘲笑うかのような笑いだ、思わず胸を衝かれる思いがした。この人が甘い? 一体リヒテンラーデ侯はどれ程厳しいのだろう……。

「……ならば陛下に直接お願いすれば」
「例え寵姫であろうと弟が大逆罪に絡んだとなれば許される事は有りません。何らかの処罰は下ります。それにキルヒアイス准将、オーベルシュタイン准将が関与したのはそれだけではないんです」

「どういうことで
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