第15話 復讐の始まり
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しかし、それを感じ取れるのは魔術回路を有している者のみ。
そしてその正体を明確に理解できるのは、自分の体の魔術回路を認識している上で常日頃から魔術に触れている魔術師と、同類や似た存在達だけである。
しかしそんな事は知らない百代でも、その発生地点くらいは判る。
感じた波動を辿ると、川神市でも富裕層が集まるエリアだった。
さらにこれは偶然だが、自分が感知した発生地点方向に向かって猛スピードで向かっている2人に気付いた。
(あれは・・・・・・シーマに士郎?)
そして百代に目聡く視認された2人――――と言うより、マスターである士郎は焦っていた。
(この感覚は昨夜葵紋病院から感じたものに間違いない・・・・・・・・・・・・が、それにしてもまだこんなに日も高いうちから動くなんて・・・!)
緊急時でなければ自分でも守る魔術の行使する時間帯を破る非常識さに、憤りよりも予想外の驚きが強かった。
(兎に角間に合え!)
できるだけ早く到達するために急いだ。
−Interlude−
少し時間を遡る。
そこは百代が指摘した富裕層が住むエリアの一角。
そこには、とある大豪邸(坪的には藤村組からしてみても小さい)が一軒あり、ボディーガードらしき黒スーツにサングラスを身に着けている者達が邸宅を囲う様に警備している所だ。
その邸宅の家主は生憎と仕事でまだ帰宅しておらず、居るのは給仕が数人と自室にて電話中の1人娘ぐらいだった。
名前は津川瑤子。九鬼財閥や西欧財閥には劣るモノの、大企業の一つであるTUGAWAカンパニーの社長の実子だ。
そして、欅美奈をメンタル面で自殺するまでに追い込み、天谷ヒカルを病院生活の戻した苛めグループの主犯格の1人でもある。
容姿端麗眉目秀麗のお嬢様ではあるが、性格は自分よりも美しい女を許さない醜悪な感情を抱えた持ち主で、まるでアリスを消そうとした魔女である。
「――――そう、今夜も遅くなるのね?」
『そうなんだよ。部下達が九鬼との商談でミスをしてね。事が事だから、私も出張らないといけない事態にまで発展してしまったんだ』
「解ったわ。それじゃお仕事頑張ってね、お父様?」
話す事は終えたので、そのままスマホを切る瑤子。
そんな彼女は溜息をつく。
今夜は父親と過ごせないからでは無い。
全ての物事が自分の思い通りにならない、この未完成の世界にだ。
この世界の中心は自分でなければならない――――いや、それこそが本来正しい形だ。
しかし現実には自分は中心どころか、世界の三大組織のいずれもの跡継ぎですらない。
そう言う意味では父親に対して幾らかの失望をしている。
だが絶望しているワケでは無く、自分が世界で
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