暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十話 仮面の微笑
[3/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
れる。

一瞬視線がブラスターに向いた。そして足を払われバランスを崩して床に手を着いた瞬間、再度身体に強い衝撃を受け弾き飛ばされる。立ち上がろうとした瞬間に頭に冷たい何かを押し付けられた……。


帝国暦 488年  1月 1日  レンテンベルク要塞 ヘルマン・フォン・リューネブルク


「動くな、キルヒアイス准将」
「御苦労さん、シューマッハ准将」
「リューネブルク中将こそ」

シューマッハ准将はブラスターをキルヒアイス准将に押し付けながら答えた。甘かったな、キルヒアイス。背中を向けるなら念のためクローゼットの中を確認しておくべきだった。司令長官を殺す事に気を取られすぎだ。

キルヒアイスを床に押し付け、両腕を後ろにまわし手錠をかけた。更に両足にも手錠をかける。その上で体を引きずり上げ椅子に座らせた。俺とシューマッハ准将でキルヒアイスの後ろに立つ。司令長官がゆっくりとキルヒアイスに近づいてきた。

「ご苦労様ですね、二人とも。キルヒアイス准将、准将が来ると思ったのでクローゼットにはリューネブルク中将、浴室にはシューマッハ准将に待機してもらったのですよ。無駄にならなくて良かった……」
「……」

「全て喋ってもらいますよ」
「喋る事など無い!」
司令長官はキルヒアイスの拒絶の言葉に柔らかく微笑んだ。拒絶された事がむしろ嬉しいかのように。

司令長官の中で獣が歓びの声を上げているのが分かった。キルヒアイス、これからは貴様にとって間違いなく地獄だ、俺が保証してやる。お前達は司令長官を本気にさせた。その恐ろしさを十分に味わうと良い……。

「昨日、グリューネワルト伯爵夫人から連絡が有りましたね」
「……」
「隠しても無駄ですよ。准将の部屋には監視カメラと盗聴器が仕掛けて有るんです」

「……馬鹿な、何時の間に」
「何の為に要塞とロキで交代に休ませたと思っているんです」
「!」

「環境が変わると良く眠れないというのは嘘です。軍人なのですよ、何処でも眠れます」
そういうと司令長官はクスクスと笑い声を上げた。キルヒアイスの驚いた表情がおかしいのか、それとも他愛なく引っかかったことがおかしいのか……。

「監視カメラと盗聴器はこの部屋にも仕掛けて有るんです。分かりますか、その意味が?」
司令長官のその言葉にキルヒアイスが困惑した表情を見せた。

「困りましたね、私達がここで何を話したか、覚えていないのですか?」
「……」
「バラ園での襲撃事件、それと私を殺す理由、確かローエングラム伯が帝国を簒奪するためでしたね」

司令長官の楽しそうな言葉にキルヒアイスの表情が青褪め、体が小刻みに震え始めた。
「昨日伯爵夫人から連絡が有り、今日准将が私を殺そうとした。これはどういう意味なのか、どう思
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ