二十六話:体育祭
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なるな、ニトクリスよ」
「全くだ。天上の王の威光を素直に受け入れればいいだけよ」
「言うではないか、太陽の」
「そちらこそな、黄金の」
「「ふははははは!」」
願わくば、この勘違いがばれませんように。
そうニトクリスは、胃の辺りを抑えたくなりながら願うのだった。
『ニトリがんばれ……』
「ちょっと! よそ見してる暇があったら玉投げなさないよ!」
その様子を、涙ながらに見つめていたぐだ男だったが、ジャンヌ・オルタの声で現実に戻る。
現在は玉入れの真っ最中。赤組のぐだ男は何としてでも点を稼がなければならないところなのだが。
『でも、投げても弾き出されるし……』
「だから、もっと投げろって言ってんでしょ!」
「こちらとしては、諦めてもらえると助かるんですけどねぇ」
先程から赤組の球の半数が、白組の玉によって叩き落されている。
それを成し遂げているのは、オレンジの髪に飄々とした態度が特徴の2年のロビンフッドだ。
彼は相手が投げる球をことごとく自身の玉で弾き飛ばし、なおかつ自分の玉はかごに入るように調節するという離れ業を披露している。
「この…! 汚い、汚いわ! 流石は森の賢者!!」
『ジャンヌ・オルタ。それはオラウータンに失礼だよ』
「いや、俺に失礼でしょーが! ほんっと、今のが煽りじゃなくて天然だからやりづらい」
ぶつくさと文句を言いながらも、目は油断なく戦況を見つめるロビン。
そして、再び飛んできた赤玉を撃ち落とそうとする。
が、視認するのもやっとな速度で飛んできた玉に逆に撃ち落とされてしまう。
「……なんですか、そりゃ」
「僕はこういう催しはあんまり好きじゃないんだけど……射撃の腕を競うんなら負けられないね」
『ビリー…!』
寝ぼけまなこをこすりながら、一人の青年が現れる。
寝ぐせのついた金髪に細い瞳。
普段はのんびりとしているが、早撃ちに関しては右に出る者はいない、ビリー・ザ・キッド。
「一度、君とは競い合ってみたかったんだよね、グリーン」
「へいへい、そりゃあ光栄なこった。こっちとしては、ごめんこうむりたいんですけどねぇ」
「じゃあ、負けてくれる?」
「無理な相談ってやつ。一応、チームのために頑張るつもりなんでね」
お互いにニヒルな笑みを浮かべ、球を持つ。
どちらも欠片も動かなない。完全なる静。
それが動に切り替わる瞬間を互いに探り合う。
そして、遂に―――
「それでは、時間になったので球を投げるのを終了してください」
『続きは来週!』
「いや、ないわよ!?」
お互いに投げることなく終わってしまったのだった。
「たくッ! 結局あんたがよそ見してたから、あの|森の
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