第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#13
決意の誓戦 “運命” VS 『運命』U 〜Destiny C/D〜
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外側のラバーが解れ内部の導線が剥き出しになっている。
「電気系統でスパーク(火花)!!
さああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
燃え尽きろオオオオオオオオオオォォォォォォォォ!!」
「ああぁぁッッ!!」
決して負荷の高くない電圧が一抹弾ける。
しかしソレで効果は十二分。
今や燃焼促進剤で全身を包まれている少女は、
そのたった一つの火花で嘘のように燃え上がった。
「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――――――――――――――ッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!」
その悲鳴すらも燃やし尽くすように、
少女とスタンドを炎が一挙に呑み込んでいき
更に周囲に気化していたガソリンにも引火して周囲一体が朱に染まる。
炎上に巻き込まれぬように目敏く車体をバックさせていたドライバーは、
始めてサイドウインドウから片腕を出し指を差し向けた。
「ようやく勝ったかッッ!! これで 『運命』 のスタンドは!
我が “運 命 の 車 輪” 只一つッ!
オレと同じ名を冠した、己が運命を精々呪うがいい!!
フハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」
吹き荒ぶ熱気を胸一杯に吸い込み、
「宿敵」 を屠ったスタンド使いは勝利の哄笑を上げる。
「まだ……勝利宣言をするには……早いんじゃないですか……?」
「――ッッ!?」
渦巻く紅蓮の向こう側で、もう絶対しない筈の声が応えた。
やがてゆっくりと、炎のカーテンが薄らいでいき、視界が開ける。
その先に在った者は、ドーム状に拡がった薄い水のヴェールに
その身を包まれた、可憐なる少女の姿。
水流によって半透明になった制服が素肌に張り付き、
髪も頬も焼塵で汚れた惨憺たる有様だが、
それとは裏腹の強靭なる意志が瞳を充たしている。
視る者スベテに畏敬の念を喚起させる、無惨ながらも美しき姿。
その少女が傍に佇むスタンドと共にゆっくりと口を開く。
「際どかったです。此処じゃなければ、
他に何もない “荒野や山岳だったならば”
間違いなく今のでやられてました」
そう言葉を紡ぐ吉田の足下で開けた、一つの破壊痕。
接地面近くで大きく抉れた金属管。
呆気に取られたドライバーがついでの様に言葉を漏らす。
「しょ、消火栓!? 消火栓を破壊して、水を噴出させたのか!?
しかし、しかし何故こんな場所に “偶然!?” 」
「そう、 『偶然』 です。
正直 「運」 が良かったとしか、言い様がありません。
でもコレで、私に染み着いたガソリンは全て洗い流されました。
もう貴方の 『能力』 は、私に通用しませんッ!」
「――ッッ!!」
少女の言う通り、並大抵の 『運』 ではない。
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