暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
sts 34 「想いを胸に」
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 母さんに見捨てられアリシアのクローンだと突きつけられた私は、闇に飲まれそうになる中でショウと話した。あのときの悲しみを理解し優しさに満ちていた言葉を忘れたことはない。
 ショウはなのはのように何事にも真っすぐぶつかって気持ちを伝えるような存在じゃない。なのはを太陽だとするなら、きっと夜空に浮かぶ月だ。
 常に人を元気にするような素振りは見せない。でも……苦しい時、辛い時はいつも傍に居てくれる。こちらが自分のペースで立ち直るまで優しく静かに支えてくれる。そんな彼のことが……私は大好きだ。
 ……私って単純だな。さっきまであんなに揺れて悩んで苦しんでたのに今はこんなにも満たされてる。

「フフ……誰が否定しても自分は認める? 大切な存在? 何とも薄っぺらい言葉だ。言葉だけなら何とでも言えるものだよ。優しい言葉で悪戯に気持ちを弄ぶとは……優しさは時として人を傷つけるいうのに」
「薄っぺらくなんかない……ショウの言葉をお前と一緒にするな。それに……私は傷つけられたって構わない」

 本当の優しさっていうのはその人のために自分が傷つくことも恐れずに言ってあげることだ。傷つくことを恐れて相手を甘やかすのは優しさとは違う。そのことを私は知っている。

『フェイト……』
「大丈夫だよショウ……もう迷ったりしない。私は私――フェイト・テスタロッサ・ハラオウンなんだから」

 今私が成すべきこと。それはスカリエッティと戦闘機人を捕まえることだ。
 なのは達も戦ってる。エリオやキャロだってあの子を救おうと頑張ってるんだ。ふたりの保護者として……隊長のひとりとしてここで負けるわけにはいかない。

「ショウ、みんなのところに行って。スカリエッティ達は私が倒すから」
『本当に大丈夫なんだな?』
「うん」
『……分かった』

 ショウはそれだけ言うとボロボロになっていたブレイドビッドを分離させて放棄。手にしている相棒に一声掛けると、バリアジャケットとデバイスの形状が変化する。
 黒いロングコートに同色のパンツ。それは出会った頃からブレイドビッドを使うようになるまで使用していた馴染みのあるデザイン。右手に持つ剣もかつて使用していたものに酷似しているが、より洗練された漆黒の長剣に姿を変えた。その姿は私のよく知る黒衣の剣士に他ならない。
 空いている左手を伸ばしたかと思うと、そこに金色の長剣が現れる。さらに紫色と蒼色の見慣れないブレイドビッドが出現し、それぞれ左右の剣に装着された。

「ショウ……それって」
『念のためにあいつらに作ってもらったのさ』

 あいつらというのはおそらくシュテル達のことだろう。色合いから予想するに漆黒の長剣に装着された紫色のブレイドビッドはシュテル、金色の長剣に装着された蒼色のブレイドビッドはレヴィが製作
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