暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは 〜黒衣の魔導剣士〜
sts 34 「想いを胸に」
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する。そう感じるのは私の心が弱っているからなのか……

「フフフ……黒衣の魔導剣士、君もなかなかに人が悪い。フェイト・テスタロッサを始めとしたFの遺産達は君に大分心を許しているようだが、本当は君だってクローンは作られた存在だと理解しているのだろう? いや理解しているはずだ、何故なら君は技術者でもあるのだから!」

 ……そうだ。私がアリシアのクローンであることは覆しようがない事実。ショウだって私がクローンだって知ってる。
 かつてショウは私は私だと言ってくれた。でも……もしもそれがあのとき私に同情して言ってくれた甘い嘘だったのなら。そう考えるだけで今にも崩れそうになる。
 ショウのことをずっと見てきた……誰よりも見てきて……色んなことを考えてきた。だけど……ショウの本心が分かるわけじゃない。ショウが本当はどう思ってるのかなんて理解できていない。もしもショウの口から存在を否定される言葉を言われたら……私は

『……確かにフェイトはアリシアのクローンだ』
「――ッ!?」
『そんなことお前に言われるまでも理解している』

 その言葉に胸が張り裂けそうになり体が震える。大粒の涙が次々と溢れ出して床へと落ちて行く中、私の心の中は様々な負の思考で満たされ闇に飲まれていく。
 もう……嫌だ。何も考えたくない……考えたくないのに心が壊れてくれない。母さんの時は壊れてくれたのに……何で今は壊れてくれないの。

「フフフフ……壊れかけている彼女を見ているのにも関わらず非情な言葉だ。だが現状彼女は意思のない人形にも等しい。その割り切り方は実に合理的で素晴らしいと言える。どうだい黒衣の魔導剣士、私の元に来ないか? 君となら共に良い夢を見れそうだよ」
『――黙れ。……勘違いするな、俺にとってフェイトはフェイトだ。たとえ何度貴様がアリシアの模造品だと言うと、周囲の人間がクローンだと蔑もうと俺の考えは変わらない』

 否定できようのない真摯な想いが乗せられた言葉は、私の中にすんなりと入り込み崩壊しかけていた心を優しく繋ぎ止め始める。

『フェイト、お前が自分の名前が嫌だというのなら好きに変えればいい。名前が変わったところで俺の想いは変わらない。出会ってから少しずつ積み上げて……築き上げてきた繋がりを断ち切ったりしない』
「……ショウ」
『お前の全てを知っているとは言わない。きっと俺の知らないところでお前は苦しんだりしたんだと思う。だけど俺は知ってる……お前の優しさも強さも。そこに何度も助けられて憧れた』
「でも……私は……」
『お前が自分を認められないとしても俺はお前を……お前だと認めるさ。俺にとってはお前はかけがえのない大切な存在なんだから』

 バラバラになっていた心がひとつになっていく。それと同時に脳裏を過ぎるこれまでの日々……。
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