第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#12
決意の誓戦 “運命” VS 『運命』 〜PHANTOM BLOOD NIGTMAREX〜
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色の光を纏わせて。
「……」
傷の痛みに屈する事なく立ち上がった吉田 一美は、
気高き決意をその胡桃色の瞳に宿して戦場への一歩を踏み出した。
「ソレらしい幻 像が視えませんでしたが、
もしかして、 “車” のスタンドですか?
船や飛行機、人間の形容を執らないスタンドが在るって
SPW財団の方が言ってました」
状況を認識するため発した言葉に、
彼女のスタンド 『聖 光 の 運 命』 が無言で頷く。
「エリザベスさんに一週間しっかり特訓してもらったけど、
まさか車を相手にするとは思いませんでした。
大変だと想うけどよろしくね、 “ライトちゃん” 」
発現してすぐ付けられた女の子らしい愛称に、
彼女の分身は微笑で応じる。
「うん、一緒に頑張ろう」
そう言って二人同時にキリリと引き締まった視線を向けた先、
真新しいスポーツカーが殆ど音を発さず徐行してきた。
「ライトちゃんがひっぱたいた痕がなくなってる。
どうやら、少しくらいのダメージじゃ回復してしまうみたいですね。
ただの暴走車ではなく、悪魔の造った機械と考えた方が良さそうです」
「観察」 は、相手の思考や能力を読みとる上で最も重要、
エリザベスから受けた教訓を忠実に実行しながら少女は緊張感を研ぎ澄ませる。
すぐにでも散々自分を甚振ってくれた激突がやってくるかと想ったが、
意外にも深紅の暴走車は沈黙を守った。
気勢を削がれたような感じがして吉田は若干口唇を引き締める。
さっきまでは恐怖の為その色彩が血のように想えたが、
今は何て悪趣味な色なんだろうと苛立ちが湧いてきた。
そう、吉田 一美は怒っていた。
戦闘の恐怖が消えたわけではないが、
しかしそれ以上の怒りが彼女の裡で渦巻いていた。
人を散々追い回して、怖がらせて、
背後から轢いて苦しみのたうつ姿を見て楽しむ。
そんな最低最悪の真似を平気でするような者の為に、
どうして自分が泣いたり怖がったりしなくちゃいけないんだろう?
どうしてこんな目に遭う位なら、イジワルな体育教師に
(今は自主退職でどこかに転任、顎と心に消えない傷を負ったらしい)
延々とグラウンドを走らされた方が
よっぽどマシとか想わなくちゃならないんだろう?
そうすれば相手が喜ぶだけ、自分が惨めになるだけ、
でもそんなの、絶対オカシイ! 絶対間違ってるッ!
決意の怒りを燃やす少女の耳に、突如耳障りなノイズが走った。
ラジオのチューナーを大音量で掻き回すような、不快な雑音。
思わず耳を塞いだ傍らで、スタンドが片翼を折り曲げて少女を包む。
やがてチューニングの音が止み、無機質な機械合成音が路上に響いた。
「フン、同じ 『運命
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