第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#12
決意の誓戦 “運命” VS 『運命』 〜PHANTOM BLOOD NIGTMAREX〜
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しいから? そんなの……ッ!)
今まで質の違う涙が双眸から滲み、吉田は決然と顔を上げた。
既に眼前には、狂気の暴走車が今までの最大速度で迫っている。
しかし少女はその脅威に微塵も屈する事なく、勇壮に叫んだ。
「 『聖 光 の 運 命ッッッッ!!!!』 」
瞬時に空間を歪めるような音を発して、
ジュラルミンで出来た天使のようなスタンドが、
纏った紗衣を靡かせ背に携えた両翼を拡げて飛び出した。
眩い神聖な光に包まれたその幻 像
ソレは狂速で突貫してくる鋼鉄の塊を真正面から受け止める。
「!!」
ボンネット越しに伝わる、ドライバーの動揺。
車は尚もタイヤを高速回転させ追突を試みるが、
車輪が空回りするだけで吉田の前に屹立する
スタンドの壁を突破する事は出来ない。
周囲に立ちこめる、合成ゴムの粉塵と狂暴なスキール音。
そんな中少女は眉一つ顰めず、負傷した右腕で涙を拭う。
ズキンッ! と痛みが脳幹を劈いたが、
少女は強い意志を宿した瞳で右腕を振り払った。
「こんな痛みが、何ですか……!」
震える口唇をきつく結び、少女は言い放つ。
「こんな恐怖が、何ですかッ!」
追想の情景から一際鮮やかに甦る風貌を背に宿しながら少女は叫ぶ。
「あの人はいつだってッ!
今の私以上に苦しい中で戦ってきた!!
護ってくれてたッッ!!」
だからその気持ちに報いる為、自分は此処に来た。
一緒に居たいという気持ちに嘘はない、
共に歩いていける事に幸福な期待を抱いていた事も否定しない、
でも! 『それだけじゃない!!』
燃え盛る決意と同時に、スタンドが動いた。
両翼をしならせて繰り出される、渾身の平手打ち。
ズァッッッッギャアアアアアアアアアッッッッッ!!!!!
女性特有の細い手首から撃ち出されたモノであるにも関わらず、
スタンドはその重量比30倍以上の車体を浮き上がらせて弾き飛ばした。
遠間に鳴り響き路面を振るわせる墜落音。
流法でもなんでもない、ただの平手打ちなのにも関わらず
車体の側面には体積比十倍以上の手形が穿たれている。
ソレを生み出したのは紛れもない、
抗いようのない恐怖を自らの意志で乗り越えた
少女、吉田 一美の決意の力、不屈の精神。
黄霞舞い散る “封絶” の中で、
狂いし運命の 『スタンド』 の前で、
この日、彼女は 「戦士」 に成った。
【2】
地響きを立てて鳴り渡る、硬質な重量音。
破滅の戦風に亜麻色の髪を揺らす少女の傍らで、
麗美なる紗衣を靡かせたスタンドが屹立している。
愛おしむように、慈しむように、神聖なる瑠璃
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