二十五話:正夢
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葉である。
そう、愛さえあれば、溶岩に飛び込みクロールをすることも容易いのだ。
「とにかく、何か悩みがあったら相談してくださいね」
「あんた……さっきのは私を笑わせる冗談だったのね」
「いえ、先程のは純愛120%です」
「あんたを信頼した私が馬鹿だったわ」
真顔で答えるブリュンヒルデに、ガクリと肩を落としながらも彼女は少し嬉しそうな顔をする。
なんだかんだと言って、誰かに心配されるというのは嬉しいものである。
「……そうね。もしよ、もし。私が、す、好きな人ができたって言ったら、あんたはどうするの?」
「婚姻届けの用意なら既にできています」
まるで、教科書を取り出すかのような自然な動作で、引き出しから婚姻届けを取り出すブリュンヒルデ。
「待ちなさい。なんでそんなもの持ってるのよ。というか、18歳以下は無理でしょ」
「女性同士なら年齢が下がるのでいけます!」
「同性なのに、選ばれるのは自分だって、根拠が欠片もない自信はどこからくるのよ?」
「諦めなければ夢は必ず叶います!」
「ダメだわ、こいつ……早く何とかしないと」
一切曇りのない瞳で言い切る、ブリュンヒルデ。
対するジャンヌ・オルタは、どこか遠くを見ながらため息を吐く。
なぜ、こんな奴に好かれてしまったのだろうかと。
放課後の訪れを知らせるチャイムが鳴り響く。
特に部活にも、委員会にも所属していないジャンヌ・オルタは家路へと向かう。
「今日は隠しルートの親戚のおじ様ルートをやらないと……流石に体育祭前に終わらせないと死ぬわ」
ボーっとする頭で、今後の予定を立てながら廊下を歩く。
全ルートを攻略するまでは、寝不足からは逃れられない。
そもそも、寝ている暇などない。全クリ前に休むなど言語道断だ。
『久しぶり、ジャンヌ。元気だった?』
「はい。ぐだ男君の方もお変わりありませんか?」
そんなことを考えながら、廊下を歩いていたところで見慣れた姿を見かける。
ぐだ男に姉のジャンヌが、楽しそうに会話をしている光景。
いつもならば、無視をして通り過ぎるところだが、今日は苛立ちから無視ができなかった。
「フン、情けない顔して……一発引っ叩いてあげるわ」
姉に笑みを向けるぐだ男の姿に、なぜか心がささくれ立ち、気づかれないように近づいていく。
そして、射程圏内に入り、手を振り上げようとしたところで事故は起こる。
『あれ? 何してるの、ジャンヌ・オルタ』
「ばっ!? いきなりこっちに来られたら、止まれな―――」
ジャンヌ・オルタの存在に気づいたぐだ男が、何事かと寄ってくる。
彼女はこのままだとぶつかると判断し、必死にブレーキをかけるが急には止まれない
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