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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百八十八話 武器無き戦い
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スクリーンを通してトリューニヒトとレムシャイド伯はにらみ合っている。確かに同盟内部の問題だ、レムシャイド伯は同盟内部の問題を帝国に持ち込むなと言っている。

しかし内政問題は常に外政に密接に関係してくる。伯がそれを知らないとも思えない、つまりは建前論を出す事でフェザーンに手を出すなといっているだけだ。

「……」
「それに誤解があるようですが、フェザーンは帝国の一自治領です、独立国ではない。その成り立ちの特異性から帝国はフェザーンの中立を認めてはいるが独立は認めていません」

「……」
「これはあくまで帝国内部の問題です。同盟政府が関知するところではない。これ以上軍を進めるのであれば、帝国領への侵犯であり敵対行為であると判断せざるを得ません。直ちに兵を退いて頂きたい」

上手いものだ。内政問題は自分の力で片付けるべきであり他者の力を借りるべきではないか……。首尾一貫している。これではヘンスローなどまるで相手にならなかっただろう。

「……」
「これ以上同盟が軍を進めれば喜ぶのはルビンスキーだけです。結果として同盟はルビンスキーに与していると言う事になる」

「……」
「ここ近年のルビンスキーの反帝国活動も実際には同盟政府の唆走によるものでは有りませんかな。我々がルビンスキーを捕らえればそれが知られてしまう、だから軍を派遣して我々を牽制している……」

「馬鹿な、そのような事などありえません」
「ならば、それを証明していただきたい。口ではなく行動でです。期待しておりますぞ、トリューニヒト評議会議長」



「手強いな」
「ああまったくだ、さすが帝国の白狐というべきかな」
「褒めるのは良いがね、これからどうするつもりだ、トリューニヒト」

議長室にコーヒーの香りが漂う。不毛といってよい会話に疲れきった神経が少しずつ癒されていく。出来れば強い酒が欲しいものだ。

レムシャイド伯との会話は全く実りの無いものだった。伯は兵を退けと言い、トリューニヒトは退かぬと言う。何時決裂してもおかしくは無かった、決裂せずに済んだ事が不思議なくらいだ。

「収穫は有った。戦争は防げるだろう」
「本当か?」
我ながら疑い深そうな声が出た。トリューニヒトが苦笑して私を見ている。そしてコーヒーを口に運びながら自分に確かめるような口調で話し始めた。

「同盟は戦争を望んでいない、そして帝国も戦争は望んでいない。あれだけ衝突しても決裂しなかったことがそれを証明している。互いに戦争を望んでいない人間が交渉しているのだ、落としどころは有ると思う」

「それで、どう決着を付ける」
「……フェザーンの共同占領、そんなところだな」
「共同占領? そんな事を帝国が認めると思うのか?」

共同占領、建前からすればフ
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