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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
殺意と変異
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、話し合いなど成り立つはずもなかったのだ。やがて攻略組から対ボス戦なみの合同討伐隊が組織され、キリトとアスナも加わった。血みどろの死闘の果てについに壊滅した。

「お前……ラフコフの生き残りだったのか?」

掠れた声で訊いたキリトに、クラディールは吐き捨てるように答えた。

「ハッ、違げーよ。俺がラフコフに入れてもらったのはつい最近だぜ。まあ、精神的にだけどな。この麻痺テクもそん時に教わったんだぜ……と、ヤベェヤベェ」

カクン、と機械じみた動作で立ち上がり、クラディールは音を立てて大剣を握り直した。

「お喋りもこの辺にせねぇと毒が切れちまうからな。そろそろ仕上げと行くかぁ。本当ならあの傷野郎も殺したかったがな」

「傷野郎……」

クラディールの放った最後の部分の単語を聞いた時、キリトは悟った。

「ネザーのことか!?」

「ピンポーン!あの野郎、ユニークスキルなんか持たねぇくせにワイワイ注目されやがってよ。その上、討伐ん時にやぁラフコフの連中をかなり殺したそうじゃねぇか。俺にとっちゃあ極上の獲物だぜ!」

確かに、討伐隊にはネザーも参加していた。しかし、どこからか情報が漏れ、ラフコフのメンバー達は迎撃態勢を整えていた。キリトを含める数人の討伐隊がその状況に錯乱してしまった。だがネザーは、あんな状況でも錯乱どころか恐怖の色を一切見せることはなかった。そればかりか、襲いかかってくるラフコフのメンバー達をなんの(ため)()いもなく殺したのだ。片手剣を振り、首や体を斬り裂いては、人間離れした殺意を見せた。

生け捕りにして牢獄に送るというのが本来の手筈だったが、討伐隊にも犠牲者が複数出たため、生け捕りにできたのはほんの数十人だけだった。

「オメェを殺したら、次はあの傷野郎を始末してやるよぉ!」

吐き残し、ほとんど真円にまで見開かれた眼に妄執(もうしゅう)の炎を燃やし、両端(りょうはし)を吊り上げた口から長い舌を垂らしたクラディールは、爪先(つまさき)立ちになって大きく剣を振りかざされようとした。

その時、一陣(いちじん)の疾風が吹いた。

白と赤の色彩を持った風だった。

「な……ど……!?」

驚愕の叫びと共に顔を上げたその直後、殺人者は剣ごと空高く跳ね飛ばされた。キリトは目の前に舞い降りた人影を声も無く見つめた。

「……間に合った……間に合ったよ……神様……間に合った……」

震えるその声は、天使の羽音にも(まさ)るほど美しく響いた。崩れるように(ひざまず)いたアスナは唇をわななかせ、眼をいっぱいに開いてキリトを見た。

「生きてる……生きてるよねキリト君……」

「……ああ……生きてるよ……」

キリトの声は自分でも驚くほど弱々しく掠れていた。アスナ
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