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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
殺意と変異
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痺毒には効果がない。

クラディールは逆手に握った剣を、ゆっくりとゴドフリーの体に突き立てていた。結果、クラディールを示すカーソルが黄色から犯罪者を示すオレンジに変化し、ゴドフリーのHPはジワリと減少する。そのまま剣に体重をかけていく。

「ぐあああああ!!」

「ヒャアアアア!!」

一際(ひときわ)高まるゴドフリーの絶叫に被さるように、クラディールも寄声を上げる。剣先はジワジワとゴドフリーの体に食い込み続け、同時にHPバーは確実な速度でその幅を(せば)めていき、HPが呆気(あっけ)なくゼロになり、無数の砕片となって飛び散ったゴドフリー。

ゴドフリーを殺したクラディールは地面に突き刺さった大剣をゆっくり抜くと、視線をキリトに向けた。その顔には抑えようのない歓喜(かんき)の色が張り付いている。右手の大剣を地面に引きずる(みみ)(ざわ)りな音を立てながら、奴はゆっくりこちらに歩み寄ってきた。

「オメェみてぇなガキ1人のためによぉ、関係ねぇ奴を殺しちまったよ」

「その割には随分(ずいぶん)と嬉しそうだったじゃないか」

答えながらも、キリトは必死に状況を打開する方法を考えていた。しかし、動かせるのは口と左手だけ。麻痺状態ではメニューウィンドウが開けず、誰かにメッセージを送ることもできない。焼け石に水だろうと思いながら、クラディールから死角になる位置でそっと左手を動かし、同時に言葉を続ける

「なんでお前みたいな奴が血盟騎士団にいるんだ。殺人ギルドのほうがよっぽどお似合いだぜ」

「ククッ、そりゃあ褒め言葉だぜ?いい眼してるってよ」

喉の奥から甲高い笑いを漏らしながら、クラディールは何を考えたか、突然左のガントレットを解除した。純白のインナーの袖をめくり、(あら)わになった前腕の内側をキリトに向ける。

「………!!」

その腕に記されていたマークを見て、キリトは激しく(あえ)いだ。

タトゥーだ。カリカチュアライズされた漆黒の棺桶の図案。(ふた)にはニヤニヤ笑う両眼と口が描かれ、ずれた隙間から白骨の腕がはみ出してる。

「そのエンブレムは……《笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》の……!?」

掠れた声でそう口走ったキリトに、クラディールはニンマリと頷いてみせた。

《ラフィン・コフィン》。それは、かつてアインクラッドに存在した、最大最凶の殺人ギルドの名前。冷酷にして狡猾(こうかつ)な頭首《PoH(プー)》に率いられ、次から次へと新手の殺人手段を考え出して3(けた)に上る数の犠牲者を出した。

一度は対話による解決も模索(もさく)されたが、メッセンジャーを買って出た者も即座に殺された。ゲームクリアの可能性を()ぐに等しいPK行為に彼らを駆り立てる動機すら理解できないのに
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