暁 〜小説投稿サイト〜
Sword Art Rider-Awakening Clock Up
殺意と変異
[8/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
を聞いて眼を丸くしたアスナは、言った。

「失うものがないって……家族とかは?」

「………」

俺は数秒間沈黙し、自身のない静かな声で答えた。

「……家族は……殺された」

「こ、殺された!?」

「……なんでもない。忘れろ」

「………」

アスナは、これ以上追及しないほうがいいと判断し、もう何も言葉を発することはなかった。

緊張をほぐそうと、アスナは右手の指を動かしてウィンドウを開き、マップでキリトの位置をモニターし始めた。

すると突然。

「……何これ!?」

マップを見ていたアスナの表情が仰天(ぎょうてん)になった。

横目で覗いていた俺は、今度はしっかりとアスナの目の前にあるマップを見た。

すると、キリトと共に行動していたはずの団員ゴドフリーの反応が消失していた。一瞬モンスターとの戦闘で殺られたと思ったが、2つの反応が違うと結論付けた。

もしモンスターとの戦闘なら、何かしら動きがあるはず。だがキリトの反応はその場から一歩も動いていなかった。その上、消失したゴドフリーと後もう1人の団員の反応は健在(けんざい)だったが、キリトとは違い、動きが見られる。あのキリトが戦闘を他人に任せたとは考え難い。何か不吉なことが起こったとしか思えない。

俺とまったく同じ結論を出していたと思われるアスナは瞬時に言葉を吐いた。

「キリト君……!!」

想い人の名を叫んだ途端、勢いよくベンチから立ち上がり、大急ぎで街を出て55層へ向かおうと走り出した。ブーツの(びょう)から出るトトトという凄まじい音を鳴らしながら、一歩も止まることなく走り去って行く。

未だベンチに腰を掛けたまま、アスナの背中が見えなくなるまで見送っていた俺の脳が、急に活発化し始めた。

まさか、……クラディールか。

エギルの雑貨屋で《ラグー・ラビットの肉》を売却した時に見た男。そして接触した時に感じた、ノイズが走ったような感覚。それらが俺の脳内で繋がった。











キリトは共に55層の迷宮区にで、今まさにHPを全損させ命を落とそうとしていた。

訓練から数分、灰色の岩造りの迷宮区で休憩していた時、クラディールが用意した(びん)に入った水を飲んだキリトとゴドフリー。しかしそれが命取りとなってしまった。

水を一口飲んだ途端、急に全身の力が抜け、キリトはその場に崩れ落ちた。視界の右隅に自分のHPバーが表示される。そのバーは、普段は存在しないグリーンに点滅(てんめつ)する(わく)に囲まれている。

麻痺毒にやられたということだ。

麻痺を解除あるいはこの状況からの脱出をしようにも、解毒結晶も転移結晶もゴドフリーに預けてしまった。回復用のポーションでも、麻
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ