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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
殺意と変異
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バーのことを第一に考える男で、皆から信頼されていた。正直、彼らのレベルは俺よりかなり低かった。だから誘われた時、俺が自分のレベルを言えば引き下がったかもしれない」

この後に出てくる言葉を口にする時のキリトの顔は、どこか寂しげな感じで言った。

「……でも俺は、自分の本当のレベルを隠してギルドに入った。その頃の俺は、《黒猫団》のアットホームな雰囲気がとても眩しいものに見えた。彼らはみんな現実世界でも友人同士だったらしく、ネットゲーム特有の距離感のないやり取りは、俺を強く惹き付けた」

アスナはまるで、散っていく花を(いつく)しむようにキリトを見守った。

眼を伏せながら更に続けるキリト。

でもある日……ケイタを除くギルドメンバーと俺の5人で迷宮に潜ることになった。ケイタは、ようやく貯まった資金でギルド本部にする家を購入するため、売り手と交渉に行っていた。………俺達の潜った迷宮区は既に攻略された後だったが、未踏破部分が残されていて、そこにトレジャーボックスがあった。俺は手を出さないことを主張したけど、反対したのは俺と《サチ》っていうギルドメンバーの1人だけで、3対2で押し切られた。

罠は、数多くある中でも最悪に近いアラームトラップだった。けたたましい警報が鳴り響き、部屋の全ての入り口から無数のモンスターが湧き出してきた。キリト達は咄嗟に緊急転移で逃れようとした。しかし、罠は二重に仕掛けられていた。そのエリアは結晶無効化空間だったため、クリスタルは使えなかった。

モンスターの数はとても支えきれる数ではなかった。メンバーはパニックを起こし逃げ惑った。キリトは、今まで彼らのレベルに合わせて隠していた上位剣技を使い、どうにか血路を開こうとした。しかし、恐怖状態に陥ったメンバー達は通路に脱出することもままならず、1人また1人とHPを0にして、悲鳴と破片を撒き散らしながら消えていった。サチだけでも救おうと思ってキリトは必死に剣を振るい続けた。

だが間に合わなかった。こちらに向かって助けを求めるように必死に手を差し出したサチを、モンスターの剣が無慈悲(むじひ)に切り倒した。ガラスの彫像のように(はかな)く砕け散るその瞬間まで、彼女はキリトを信じ切った眼をしていた。彼女はひたすらに信じ、(すが)っていたのだ。何の根拠もない、薄っぺらい、結果的に嘘になってしまった「君は死なないよ」というキリトの言葉に。

ケイタは、今まで仮の本部としていた宿屋で、新居の鍵を前に全員の帰りを待っていた。1人生き残った俺だけが戻り、何があったか説明している間、ケイタは無言で聞いていたが、俺が話し終わると一言、なぜお前だけが生還せきたんだ、と 訊たずねた。俺は、自分の本当のレベルと、βテスト出身だということを告げた。そしてケイタは、異物を見るかのよう
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