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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
神聖剣VS神速
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「試合が終わったら、部下をちゃんと仕付けとけよ」
「考慮しておくよ」
言うと、ヒースクリフは笑いを収め、
真鍮
(
しんちゅう
)
色
(
いろ
)
の瞳から圧倒的な気合を
迸
(
ほとばし
)
らせてきた。2人は現実には遠く離れた場所に横たわっており、2人の間にはデジタルデータのやり取りしかないはずだが、それでも殺気のようなものを感じる。
俺は意識を《ヴァーミン》と戦う時と同じ意識に切り替え、ヒースクリフの視線を正面から受け止めた。大歓声が徐々に遠ざかっていく。すでに知覚の加速が始まっているのか、周囲の色彩が微妙に変わってるような気がした。
ヒースクリフは視線を外すと、俺から10メートルほどの距離まで下がり、右手を
掲
(
かか
)
げた。出現したメニューウィンドウを、視線を落とさず操作する。瞬時に俺の前にデュエルメッセージが出現した。もちろん受諾。オプションは初撃決着モード。
カウントダウンが始まった。周囲の歓声はもはや小さな波音にまでミュートされている。
戦闘を求める衝動に掛けた
手綱
(
たづな
)
を引き絞る。俺はわずかな
躊躇
(
ちゅうちょ
)
を払い落とし、腰から片手剣を同時に抜き放ち、手の中で剣を器用に回転させて構えた。最初から全力で当たらねば、敵わない相手だというのはわかってた。
ヒースクリフも盾の裏から細身の長剣を抜き、ピタリと構えた。
盾をこちらに向けて半身になったその姿勢は自然体で、無理な力はどこにもかかっていない。敵の初動を読もうとしても迷いを生むだけだと考え、全力で打ち込む覚悟を決める。
2人ともウィンドウには一瞬たりとも視線を向けなかった。にも関わらず、地を蹴ったのは【DUEL】の文字が閃くのと同時だった。
俺は一気に飛び出し、地面ギリギリを
滑空
(
かっくう
)
するように突き進んだ。
ヒースクリフの直前でくるりと体を捻り、右手に握られた剣を左斜めしたから叩きつける。十字盾に迎撃され、激しい火花が散る。
右手の剣で再び一撃を与えるが、ヒースクリフも盾を左、右、上、下へとずらし、俺の剣技をことごとく防いで見せた。技の
余勢
(
よせい
)
でヒースクリフと距離を取り、向き直る。
剣の攻撃を防ぐ盾はさすがに厄介だった。だが遠距離戦ならともかく、近距離戦なら
隙
(
すき
)
が生じることもある。実際にこのタイプの敵とは何度か一戦交えたこともある。問題はない、と思いたかった。
すると今度は、お返しのつもりかヒースクリフが盾を構えて突撃してきた。巨大な十字盾の陰に隠れて、奴の右腕がよく見えない。
「チッ!」
俺は舌打ちをしながら右へのダッシュ回避を試みた。盾の方向に回り込めば、初期軌道が見えなくても攻撃に対処する余裕ができると踏んだ。
しかし、俺の策は裏切られた。
ヒースクリフは盾自体を水平に構えると。
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