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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
神聖剣VS神速
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れだけいるみたいだし……あ、ダイゼンさん」

顔を上げると、血盟騎士団の自赤の制服これほど似合わない奴もいるまいと言うほど横幅のある男が、たゆんと腹を揺らしながら近づいてきた。

「いやー、おおきにおおきに!!」

丸い顔に横面の笑みを浮かべながら声をかけてくる。

「ネザーはんのお陰でええ儲けさせてもろてます!あれですなぁ、毎月1回くらいやってくれはると助かりますなぁ!」

「バカバカしい」

「ささ、控え室はこっちですわ。どうぞどうぞ」

のしのし歩き始めたダイゼンの後ろを、未だに呆れながらついていった。





控え室は闘技場に面した小さな部屋だった。ダイゼンは入り口まで案内すると、チケット販売がありますんで、などと言って消えた。既に観客は満席になっているらしく、控え室にも歓声がうねりながら届いてくる。

3人だけになると、アスナは真剣な表情で俺に言った。

「……例えワンヒット勝負でも強攻撃をクリティカルで受けると危ないんだからね。特に団長の剣技は未知数のところがあるから、危険だと思ったら……」

「そこまで。俺よりヒースクリフの方を心配しろ」

アスナが最後まで言い終える前に口を挟まれた。誰にも負けないという自身を持っていると思うが、実際はどこか不安なところを持っているのかもしれない。

遠雷のような歓声に混じって、闘技場のほうから試合開始を告げるアナウンスが響いてくる。腰の後ろに装備した1本の剣を同時に少し抜き、チンと音を立てて鞘に収めると、俺は四角に切り取ったような光の中へ歩き出した。





円形の闘技場を囲む階段状の観客席はギッシリと埋まっていた。見た感じ1000人以上はいる。最前列にはエギルやクラインの姿も見受けられ、「斬れ!」「殺せ!」などと物騒なことを喚いてるが、俺にはヒースクリフに向けられた喚きだと思った。

もしもどちらか1人だけを応援するなら、間違いなくヒースクリフが応援されるだろう。俺の実力が認められていても、人間的に良い評価を受けていないことくらいわかっていた。

俺は闘技場の中央に達したところで立ち止まった。直後、反対側の控え室から真紅の人影が姿を現した。歓声が一際高まる。

ヒースクリフは、通常の血盟騎士団制服が白地に赤の模様なのに対して、それが逆になった赤地のサーコートを羽織っていた。鎧の(たぐい)は最低限だが、左手に持った巨大な純白の十字盾が眼に映る。どうやら剣は盾の裏側に装備されているらしく、頂点部分から同じく十字を象った柄が突き出してる。

俺の目の前まで無造作な歩調で進み出てきたヒースクリフは、周囲の大観衆に眼をやると、さすがに苦笑いをした。

「すまなかったなネザー君。こんなことになっているとは知らなかった」

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