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Sword Art Rider-Awakening Clock Up
神聖剣VS神速
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んで?」

少し努力で強張る口を動かし、キリトは答えた。

「仮にネザーが負けて、俺が血盟騎士団に入ったとしても……アスナといられるわけだし、それはそれでいいと思うんだ」

以前なら逆さに振っても出てこないような言葉だ。アスナは一瞬キョトンと眼を丸くしたが、やがてボッと音がしそうなほどに頬を赤くし、なぜかそこを再び膨らませると、窓際に歩いて行った。

背を向けて立つアスナの肩越しに、夕暮れのアルゲートの活気に満ちたざわめきがわずかに流れ込んでくる。

言ったことは正直な気持ちだったが、ギルドに所属するのはやはり抵抗がある。キリトがギルドに入るか否か。その全ては、1人の剣士に託すことになる。

キリトは、以前一度だけ所属したギルドの名を思い出して、胸の奥に鋭い痛みを覚える。

まあ、あいつなら簡単に負けはしないさ……とキリトは胸の中で呟き、俺の傍を離れてアスナの隣に立った。しばらくして、右肩に軽くアスナの頭が預けられた。





先日新たに開通した75層の主街区は古代ローマ風の造りだった。マップに表示された名は《コリニア》。すでに多くの剣士や商人プレイヤーが乗り込み、また攻略には参加しないまでも街を見たいという見物客やら情報屋も詰め掛けて大変な活気を(てい)している。それに付け加えて今日は(まれ)に見る大イベントが開かれるとあって、転移門は朝からひっきりなしに訪問者の群を吐き出し続けていた。

街は、四角く切り出した白亜(はくあ)の巨石を積んで造られたていた。神殿風の建物や広い水路と並んで特徴的だったのが、転移門の前にそびえ立つ巨大なコロシアムだった。入口付近の看板には、《生ける伝説・ヒースクリフ VS 最速の神・ネザー》と表されていた。打って付けばかりに俺とヒースクリフのデュエルはそこで行われることになった。

だが。

「火噴きコーン10コル!10コル!」

「黒エール冷えてるよ〜!」

コロシアム入り口には口々に喚き立てる商人プレイヤーの露店がずらりと並び、長蛇(ちょうだ)の列をなしに見物客に怪しげな食い物を売りつけている。

「……祭り騒ぎにしやがって」

俺は呆れ、(かたわ)らに立つアスナに問い質した。

「なんでこんなイベント騒ぎになってる?」

「さ、さあ……?」

するとキリトが。

「おいアスナ、あれ!」

コロシアムの入り口で何やら券を売っている血盟騎士団の団員プレイヤーを指差した。

「ヒースクリフの奴、まさかこれが目的だったのか……」

「いやー、多分経理の《ダイゼン》さんの仕業だねー。あの人お金に関してはしっかりしてるから」

あはは、と苦笑いをするアスナの前で俺は再び呆れ、がっくり肩を落とした。

「まあ、見たいって人もこ
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